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それでも、この未来を。  作者: 風見鶏
第1章 出会いと予兆
3/19

【1-2】『一目惚れと留学生?』/『屋上の内緒話』

【本作はpixiv・小説家になろう 同時連載作品です】


ご覧いただき、ありがとうございます!

この作品は、オリジナルのダークファンタジー小説です。全7章構成の連載形式で投稿します。


こちらの物語は、pixivにも同時掲載しております。

https://www.pixiv.net/novel/series/14203170

(※創作活動としての併載です。転載目的ではありません。)


※第1章分まではすでにpixivにて先行公開済みのため、まとめて投稿いたします。

第2章以降は、pixivと小説家になろうにて同時更新となる予定です。


《この投稿の掲載内容》

ー第1章 出会いと予兆②ー

scene2 『一目惚れと留学生?』

scene3 『屋上の内緒話』


《次回投稿予定》

ー第1章 出会いと予兆③ー

scene4『いつもの笑顔で』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


※この作品の無断転載・複製・AI学習への使用を禁止します。Repost is prohibited.


scene2『一目惚れと留学生?』


―――――――――――


翌朝。

昨日の“再会の余韻”を引きずったまま登校した優真は、教室で律に呼び止められた。


「なあなあ優真!!」


「うわ、どうしたの急に。朝からテンション高いな……」


律は優真の肩に両手を置いて、ぐっと距離を詰めてくる。


「澪ちゃんとっ、、仲良くなりたいっっ!!!」


「……は?」


「マジであの子ヤバい!!笑顔がまぶしすぎて目つぶしレベルだった!!」


「目つぶして……」


「なんつーか、なんかもう……きらきらしてた。魔法かかってた。出会った瞬間、俺の脳内の“運命の人センサー”が光ったんだよ!」


「……そんなセンサーあるんだ」


「てか優真、幼馴染ってどういうこと!? 今まで隠してたの!? 俺に気を使ってた!?」


「いや、昨日会うまで、知らなかった」


「なにそのドラマ展開ーー!!運命すぎるだろーーーッ!!」


「はは、そうかな…」


「だからさ頼む!澪ちゃんと話す時、俺の良いとこさりげなく伝えといてくれちゃったりとか…!」

「あとほら、次澪ちゃんがきたときさ、なんかちょっとこう、さりげなく?優真だけ用事思い出して、スススーッと、教室出るとか、ほら、そんな感じでさ……」


教室中に響く勢いで大騒ぎする律を、周囲のクラスメイトがくすくす笑いながら見ている。


そんなクラスの様子をちらりと見ながら、優真は苦笑いした。


「いいよ、けど、僕が伝えなくても、、あっという間に伝わりそうだけど…(笑)」


「だー!噂じゃだめなんだよ、親友の、お前が言うから説得力があるんじゃんか!」


律の勢いに押されて、優真は、わかった、わかったと繰り返す。


──優真は、律の目が、いつもと違って少しだけ真剣なのを感じていた。


(……やっぱ、一目惚れ、したんだな)




ーチャイムの音が響き渡るーー


ざわざわとした空気が広がる教室。


「以上が明日の予定ですが、えー、あとひとつ、嬉しいお知らせな。」


翌日の連絡事項を伝え終えた担任が、続けておもむろに話し出す。


「このクラスに新しく仲間が増えます。」


「え!?もう6月半ばだぜ?今から編入?」

「外国の人ですか!?」「男子?女子?どんな子かな!?」


「はいはい、静まれ(笑)

今日からこのクラスに、短期の交換留学生が一人加わります。

違う環境から来てるけど、3ヶ月だけ一緒に過ごす予定だ。みんな、なかよくね。」


そして、教室の扉が静かに開いた。


──入ってきたのは


あの、銀髪の少女だった。


(えっ……?あれって……)


天城紫苑あまぎ しおんです!今日からよろしくお願いしまーす!」


明るい笑顔で教室を見回す彼女。

間違いない、あの時、渡り廊下で会った……「悪魔」だと自称してた、あの子だ。


「うわ!めっちゃ綺麗な子来たじゃん!」「モデルみたい……」

「髪、銀色?地毛??すげー……」

「うちのクラス、急にレベル上がったな!」

「ハーフとか!?ハーフとかなんですか!?」


ざわめきがだんだんとヒートアップしていく中

担任は一言ピシャリと言い放つ。


「お前ら。うるさい。」

「喜ぶのは自由だがハメ外しすぎたら、、わかってるね?」


その一言で、生徒たちは1人残らず、口をつぐむ。

ひとときの沈黙ーーー


「うん、いい子たち。」


このクラスの担任は、黒田澄香くろだ すみか

担当科目は化学で、この学年の生活指導主任でもある彼女は、生徒たちの中でひそかに「C組のメドゥーサ」と呼ばれている。

少しウェーブがかった黒髪をぐいっとアップにして、器用にくるりとまとめた髪の束をなぜかいつも愛用のボールペンでとめている。


驚いた表情で見つめ続ける優真の方へ、紫苑と名乗る少女がふいに視線を向ける。

ふっといたずらっぽく笑うと、そのままこちらへ歩いてきた。


「一ノ瀬、、優真くん?……だっけ?」


「えっ、あ、はいっ……」


「放課後、ちょっと付き合ってくれる?──あっち」


そう言って、にこやかに屋上の方向を指差す紫苑。


「えっ、、あ、あの……はい」


突然の指名に教室がざわつく。

律も、目を丸くして優真を見つめていた。


「えっ優真!?なにあれ?」「知り合いなの?」

「いつの間にそんな関係に……」「お人好し、モテ期突入!?笑」


クラス中から変に注目を浴びてしまい、動揺の色を隠せない優真は、放課後、紫苑に引きずられるようにして、屋上に向かうのだった⸻




――――――――――


scene3『屋上の内緒話』



紫苑に手を引かれるまま、優真は屋上まで連れてこられた。


(えっなんで?なんで呼び出し…?僕なんかしたんだっけ……?あっストラップやっぱ気に入らなかったとか……!?)


「はい着いた〜!いい風!」


「えっと、話って……」


ビクビクと構える優真。

紫苑はぱっと振り向き、とびきりの笑顔を見せる。


「今日はね!契約についての説明会!!なのです!!」


「えっ契約……って、、、

もしかして、昨日の話?」


「そ!“証”ってやつ、忘れてないよね? あたしが上級悪魔になるための試験に、必要なやつ!」


「忘れ…て、ないけど、、

(悪魔って、、あれ、やっぱ本気だったんだ……)


「証がないと、対象者と契約?ができないんだけどね、晴れて正式な契約が成立すると、身体のどこかに“魔紋”っていうのが発現するの。悪魔と、契約した人間、両方にね」


紫苑はそう言って、勢いよく制服の裾を持ち上げ、スカートのウエスト部分に手をかけた。


「──見て!」


「っっ!?!?!?」


優真の理性は完全に沈黙した。


制服の上着を捲り上げ、スカートのウエスト部分をぐいっと下に押し下げた紫苑の左の腰のあたりに、それはあった。


うっすら光る、神秘的で複雑な紋様。


ただ…見惚れるよりも前に、優真の顔は茹でタコだった。


「ちょ、ちょっと……っ!?!? なんでそんなとこ……っ!?」


「なによ?ちゃんと見なさいよ!身体のどこにでるかわからないんだから、お互いちゃんと確認しなきゃでしょ!?」


「いいいやいやいやいやいや!」

優馬は、顔を手で覆ったまま、紫苑を直視することができなかった。


「同じ魔紋がちゃんと発現してないと、契約結ばれたことにならないんだから!優真の体にもあるはずなの!」


「あるって言われても……どっどこに…」


紫苑は優真を、上から下までじーっと見つめ──そして、お腹のあたりを指差した。


「OK、ちょっと脱いで!」


「えっ、えっ!?ちょっ、やめ──!!」


紫苑はずいっと迫ってくる。


「いーから見せなさいってば!!」


「ちょっ……わあああっ!?」


がばっ!


気づけば紫苑に馬乗りの状態で押し倒され、シャツが捲り上げられていた。


「ギャーギャー言ってないでさっさと脱いで──」


──その瞬間。


「……なにやってんのよォォォ!!??」


階段の方から、叫び声が響いた。


振り返ると、澪が顔を真っ赤にして立ち尽くしている。


「「あ……」」


「……あれ?やば。時間、止めてなかった……?」


紫苑、痛恨のミス…


「ま、まって澪!ちがっ、これは──!」


「ばかああああああああああ!!」


澪は、狼狽える優真に背をむけると、ダダダッと階段を駆け降りていった。


呆然としたまま、優真はぽつりと呟いた。


「……あの」


「なに?」


紫苑は、何の気なしに、ひょいと顔を覗き込んでくる。


「悪魔……なんだよね、きみ」


「うん!」


即答だった。明るく、ためらいのない返事。


「そのー……魔力?でさ。記憶を……書き換えられたり、とか……できたり……します?」


言いながら、自分でも何を言っているんだろうと思った。

そんなの、現実的じゃない。

それでも、すがりつきたくなるくらいには、混乱していた。


紫苑は一瞬だけきょとんとしたあと、くすっと笑って、


「んー……ごめん、ムリ⭐︎」


と、舌をちょこんと出して、おどけたように言った。


「そういうの得意な子もいるんだけどね〜、あたし、そういうの苦手っていうか……なんか、うまくいかないんだよね〜」


あまりにも気軽なトーンが、胸にこたえた。


思い出したくない記憶を、都合よく書き換えようとするなんて。

どこまで自分は――現実から逃げたかったんだろう。



優真は、ぽつりと呟いた。


「……ですよね……」



最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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― 新着の感想 ―
状況が想像しやすく、文もカジュアルで、学生ならではの青春がよく伝わってきて読みやすかったです!
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