【4-3】『走れ』
【本作はpixiv・小説家になろう 同時連載作品です】
ご覧いただき、ありがとうございます!
この作品は、オリジナルのダークファンタジー小説です。全7章構成の連載形式で投稿します。
こちらの物語は、pixivにも同時掲載しております。
https://www.pixiv.net/novel/series/14203170
(※創作活動としての併載です。転載目的ではありません。)
それでは
第4章 行き止まりの午後
scene3『走れ』
お楽しみください。
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scene3『走れ』
優真のスマートフォンが、小さく震え
光る画面が、現実へと引き戻す。
びくりと反応した優真は、咄嗟に床に落ちたスマホを手に取る。
液晶には「律」の名前が表示されていた。
紫苑の泣き声がまだ静まらない。
優真はまだ混乱の残る頭のまま、画面をスライドし、耳に当てる。
「……もしもし、律? どうしたの……?」
電話の向こう、騒がしい雑踏音。
人の声、誰かの叫び声、サイレンのようなものもかすかに混ざっている。
けれど、肝心の律の声が聞こえない。
呼吸の音だけが、遠く、乱れて届く。
「律……?」
沈黙の果てに、ようやく漏れ出た絞り声。
ー「……ま……優真ぁ……!!!」ー
震えていた。
泣いていた。
普段のおちゃらけた声の面影など一切ない。
息が続かない。
言葉にできず、嗚咽が遮る。
胸の奥に不安の塊が落ちた。
一瞬で全身が冷え、感覚が遠のいていく。
「律……律、どうしたの? 何があったの?」
そのとき。
ー「澪が……澪が、事故った……」ー
一言で、全ての空気が凍りついた。
「……え」
紫苑もまた、顔色を失って息をのむ。
ー「俺のせいで、、どうしよう俺……俺が……っ、バカで、、澪…優真っ、俺……ごめん、ごめん……!」ー
律はすでにパニックだった。
自分を責め、支離滅裂な言葉を吐きながら、崩れていく。
「——っ行かないと!」
優真は叫ぶように立ち上がり、走り出す。
全身が脈打ち、血が急激に巡る。
誰が悪いとか、何が起きたとか、そんなの後でいい。
今すぐ律と、澪のもとへ行かなきゃ——その想いだけで、靴音を響かせた。
後ろで、紫苑が必死に名前を呼んでいた。
でももう、優真には届いていなかった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
《次回以降投稿予定》
8/11(月)
【4-4】『赤い地面』
※このシーンには、負傷描写、強い精神的ショックや錯乱状態を含む描写があります。苦手な方はご注意ください。
8/12(火)
【4-5】『壊れた心』
8/13(水)
第5章 証の代償
【5-1】無題/『今、僕にできること』
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