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それでも、この未来を。  作者: 風見鶏
第3章 ふれあいと違和感
15/35

【3-6】『それぞれの放課後』/《第3章:審判記録》

【本作はpixiv・小説家になろう 同時連載作品です】


ご覧いただき、ありがとうございます!

この作品は、オリジナルのダークファンタジー小説です。全7章構成の連載形式で投稿します。


こちらの物語は、pixivにも同時掲載しております。

https://www.pixiv.net/novel/series/14203170

(※創作活動としての併載です。転載目的ではありません。)


*お知らせ*

最新話の更新は1〜2日に1回のペースになります。

また、更新の時間帯については、日付が変わった直後〜お昼ごろまでの間に投稿することが多くなる予定です。

少しお待たせしてしまうこともあるかもしれませんが、継続して更新して行きますので、楽しみにお待ちいただけると幸いです。


更新時には活動報告でもお知らせしますので、よければチェックしてください!


それでは

第3章 ふれあいと違和感

scene8 それぞれの放課後


お楽しみください。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


※この作品の無断転載・複製・AI学習への使用を禁止します。Repost is prohibited.

scene8『それぞれの放課後』



屋上からレンジの姿が消えたあとも

シオンはしばらく、その場から動けなかった。


震える拳。冷たい夕風。

“証”を奪われた事実だけが、脈打つように体を支配していた。


「……優真に、言わなきゃ……」


かすれた声が、夕焼けに吸い込まれていく。

 




教室には、もうほとんど人がいなかった。


カバンをいつもの癖で肩にかけようとした律だったが――


「……っ、やべっ」


ほんの数センチ浮かせたその瞬間、脳裏に鋭い声と氷のような視線がよぎる。

反射的に動きを止め、そのままそっとカバンを降ろす。


代わりに、両手でしっかりと抱きかかえるように持ち直すと、何食わぬ顔で姿勢もきっちり。

思わず周囲を見回すあたり、完全にトラウマが刻まれていた。


そこへ

「……おーい」


後ろのドアが開く音と同時に、軽い声が飛んできた。


「ん?」


振り向くと、そこには澪がいた。


少し伸びた前髪を指で直しながら、気だるげな顔で立っている。


律は一瞬だけ、言葉を詰まらせて――

それをごまかすように、いつもの調子で口を開いた。


「あ、現れたな。赤点怪獣・ミオゴン」


「……は?」

澪が眉を上げて笑う。


「なんそれ(笑) 怪獣なの、あんたもでしょ、赤点ペアでしょ(笑)」


「ははっ。まあな、同じ試練を乗り越えた仲だし?」


「うける(笑)」


気がつけば、ふたりの距離は自然と縮んでいた。


かつては、隣のクラスの“話したことのない親友の幼馴染”だったはずの澪。

そして今は、気まずいまま、何も言い出せずにいる関係。


──それでも。


共に乗り越えた赤点補習の地獄の日々のおかげか、

こうして放課後に声をかけ合えるくらいには、また少し、距離が縮まってきたような気がしていた。


「優真いないしさ」

澪がカバンを揺らしながら言う。

「……一緒に、帰ろ?」


「……おぅ」


照れくささを紛らわせるように、律は少しだけ早足で歩き出した。

澪が、その横に並ぶ。


そのまま、夕日に染まる昇降口を抜けていく二人。


どこかぎこちなくて、でも、少しだけ心地よい。


校門の向こう、ゆっくりと風が吹いていた。




ーーーーーーーーーー

第3章における《審判記録》



記録官:第四審査観察局付 エルヴァ=コルネリウス


報告対象:一ノ瀬優真/契約悪魔:シオン・ヴェリダ


概況:

対象者の精神状態に揺らぎが見られるも、自我の核は保持されている。

対外的摩擦が契機となり、自己認識の歪みに拍車をかけつつある。


特筆事項:

契約悪魔による感情的介入が頻発。対象者の安定を助ける一方、

干渉の明確な意図が見えにくく、審査基準としての評価が困難な場面も多い。


評価:

関係性の深化とともに、証の本質的意味を問う段階に入ったと見られる。

現段階では進行を見守る。次節にて転機が訪れる可能性あり。



最後までお読みいただき、ありがとうございました!



《次回以降投稿予定》


8/8(金)第4章 行き止まりの午後

【4-1】『心は、すぐそばにあるのに』


8/9(土)

【4-2】『侵入者』

※このシーンには、精神的・言語的な圧迫描写、および性的・暴力的示唆を含む表現があります。苦手な方はご注意ください。


8/10(日)

【4-3】『走れ』



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