第10話:はじめての車中泊仲間。
-------------------------
ひより @hiyori_vanlife 2025年5月4日 12:00 JST ID:hiyopon28
道の駅で、見慣れない軽バンが隣に。
もしかして、車中泊仲間…?
あの人、なんか、すごく楽しそうに料理してる……
気になる。
#車中泊仲間 #道の駅の出会い #見てるだけ
-------------------------
道の駅、着いた。
いつもの場所。
昨日までの、私。
ちょっと、違う。
焦げたカレー。
あれから、もう。
怖くない。
むしろ、笑える。
駐車場。
でり丸を、停める。
隣。
見慣れない、軽バンがいた。
水色の、エブリイ。
ポップな、ステッカー。
窓に、カーテン。
「車中泊してるな」
直感した。
中から、匂いがした。
カレー。
本格的な。
スパイスの、香りが。
風に乗って、届く。
「うわあ……」
思わず、声が出た。
私の、焦げたカレーとは。
大違い。
でり丸の窓。
少し、開ける。
覗く。
中の人。
いた。
若い、男性。
細身。
でも、手際がいい。
フライパン、振ってる。
めっちゃ、楽しそう。
歌ってる。
鼻歌。
楽しそう。
すごく。
「……プロかな」
そう、思った。
この人、絶対、プロ。
キャンプの、達人。
料理の、達人。
私の、知らない世界。
そこには、きっと、ある。
私。
車内で。
じっと、見てた。
まるで、観察。
レトルトカレー。
焦がした、私。
こんな、料理。
作れるんだろうか。
不安。
でも。
憧れ。
彼は、楽しそうに。
盛り付けた。
湯気。
まだ、上がってる。
そして。
写真。
スマホで、パシャリ。
うん。
インスタ映え、完璧。
私には、無理。
絶対。
でも。
見てるだけで。
なんか、元気。
出る。
焦げたカレーも。
悪くない。
そう、思えた。
彼の、楽しそうな顔。
見てるだけで。
私も、笑顔になった。
いつか。
私も、あんな風に。
楽しんで、料理。
できるかな。
いや。
きっと、できる。
たぶん。
でり丸の、窓。
そっと、閉めた。
まだ、話しかける勇気は。
ない。
でも。
いつか。
絶対。
そう、心に、誓った。
外から、微かに。
スパイスの、香りが。
届く。
お腹、鳴った。
「……なんか、お腹空いたな」
今夜は、何にしよう。
考える。
レトルト。
いや。
何か、違うもの。
挑戦してみる。
たぶん。
-------------------------
ひより @hiyori_vanlife 2025年5月4日 18:30 JST ID:hiyopon28
隣の軽バン、神だった。
あの人みたいに、楽しんで料理したい。
私の車中飯、まだ伸びしろあるはず。
見てるだけでも、刺激もらえる。
#車中泊の出会い #刺激的な隣人 #伸びしろしかない
-------------------------
次回予告!
ひより:「夜中に、警備員さんに起こされた!? ここ、仮眠禁止ですって!」
ひより:「焦って逃げ出したけど、まさか、こんな場所で満点の星空に会えるとは……」
次回、第11話:仮眠禁止のPA。