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2話 やっぱ悪役って辛いわ

「ふぅ……何とか乗り切った……」


 入学初日という事もあり、今日は午前で終わった。


 それにしても、城咲玲司がここまで嫌われてるとは思わなかったぞ?歩いてる先輩に挨拶したら「ひい!」「ごめんなさい!」とか言って逃げられてしまったんだが……。


 俺ではないとはいえ、ここまでされると流石に精神が病みそうだ。まぁもう真っ当に生きると決めたし、おとなしくしていればその内周りの見方も変わるだろうけど。


 その後、俺はコンビニで弁当を購入し、駐車場でジュースを飲んでいた。


「こいつ……。金だけは持ってんだよな……」


 毎月仕送りを親に貰っているようで、コンビニで弁当を毎日購入するだけでも有り余るほどだ。


 こいつ相当親に甘やかされてるんだな。そう思っていた時だった。


「いや!放して!」


 綾乃の声……?声がした方へ急いで向かうと、なんと綾乃が何人かの男に囲まれていた。


「なぁ、いいだろ?これからデート行こうぜ?」

「いやです!」


 こんな真昼間から白昼堂々とナンパをする奴がいるんだな……。なんて思ってる場合じゃない。早く綾乃を助けなくては!

 

「綾乃、おまたせー!」

「はい?」

「何だお前?」

「じゃあ、早く行こうかー!」

「ちょ!」


 困惑する綾乃をよそに俺は、綾乃腕を掴んで全速力で走った。


「はぁはぁ……ここまでくれば大丈夫……」


 なんとか、なったようだ。城咲玲司が運動能力抜群で良かったぜ。


「え、えっと。ありがとうございます。助かりました」

「どういたしまして。大丈夫?怪我とかしてないか?」

「大丈夫です」


 少し嫌悪感を表す綾乃と話していると、そこに「おーい」と叫びながら悠斗が全速力で駆け寄ってきた。


 まずい、かなり俺に対して怒っているようだ。


「なんで、お前が綾乃と一緒にいるんだ?」

「落ち着いて、お兄ちゃん……。私がナンパされそうになってるところを助けてくれたの」


 綾乃……悪役の俺のためにそこまで言ってくれるなんて……。


 俺もそれに同調して「そうだ」と相槌をする。


「助けた……?まさかお前、助けた見返りに綾乃へ何かしようって魂胆じゃないよな?」

「いや、そんな訳ないだろ」

「いいや、絶対そうだ。綾乃に何しようと考えてたか知らないが、綾乃には今後一切近づくんじゃねーぞ?わかったか? 行くぞ綾乃」

「ちょ、ちょっとお兄ちゃん!」


 そう言い残して、2人は俺の前から去って行った。


 せっかく妹を助けてあげたのに、なんなんだあの態度は……。でもそう言われても仕方ない事をしてからな。しょうがないか。


 てか、悠斗ってあんな性格だったけ?まぁ悪役が近づいたらああ言う口調になるか。


 俺は少し疑問を抱ぎながら、家へと戻るのだった。






 



綾乃視点


「いいか?もう絶対に城咲玲司へ近づいちゃだめだからな」

「わかってるよ。お兄ちゃん……」


 お兄ちゃんから、城咲玲司って言う人がどういう人か聞かされて驚いた。


 あの人は中学生のころ、相当悪い事してみたい。そのせいで何人もの人がめちゃくちゃにされていたことも。


 良い人だと思ってたのにな。


「それと、今後あまり無暗に男に近づかない事」

「う、うん、わかった。でもなんで?」

「お前が心配だからだよ。それ以外にあるか?」

「そうだね。心配してくれてありがとう」


 お兄ちゃんは優しい。けど少し過保護なところがあるんだよね。


 もう私も16歳なんだから、そんなこと言われなくてもわかってるのに……。


 でもそれくらい私の事を大切に思ってくれてるってだと思うんだけど、入学式直前から少しお兄ちゃんの性格が少し変わったのは気がするのは気のせいかな?


「おーい、綾乃ー。何やってるんだー早く来いよー」

「うん、今行くよーお兄ちゃん!」


 流石に私の考え過ぎだよね。そう思いながら私はお兄ちゃんと仲良く並びながら家に帰った。


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