寂しがり屋の嫌われ者
1人。
私が1人。
私の部屋で私は1人。
私の家で私は1人。
私のクラスで私は1人。
私の学年で私は1人。
私の学校で私は1人。
私の街で私は1人。
私の国で私は1人。
私の地球で私は1人。
1人。
1人?
1人!
1人ー。
ひっとり。
ヒトリー。
ひとーりー。
独りぼっち。
私は独りぼっち。
どこを探しても見つからない。
机の下にも居なかった。
引き出しの中にも居なかった。
押入にも居なかった。
トイレの中にも居なかった。
洗濯機の中も確かめた。
食器洗い機の中も。
ゴミ箱も。
ランドセルも。
給食袋も。
長靴も。
どこを探しても見つからない。
かあ様に聞いたら笑われて。
とう様に聞いたら怒られて。
ポチに聞いたらほえられた。
私はいったいどこだろう。
どこに行けば逢えるだろうか。
どこをさがせば良いのだろうか。
スイカを割って探しているとき、テレビで誰かが言っていた。お墓で泣いて言っていた。
「私は決して忘れない。彼女は私のなかにいる。」
あなたの中に誰かがいるの?
誰かの中に私もいるの?
大好きな先生に聞いたら、にっこり笑ってそうだと言った。
あなたの大好きな人は、きっとあなたを大好きだから。大切だから。」
だから、先生の中をさがした。
でも私は居なかった。
赤や薄い肌色やベトベト気持ち悪い物しか入っていない。
先生は嘘つきだ。
嘘つき?
いや、違う。
先生は今まで一度も嘘は吐かなかった。
だからきっと、先生は私のことが嫌いだったんだ。
だから私は居なかった。
次は親友のミカちゃんの中をさがした。
ミカちゃんは最初はうるさかったけれど、しばらくして返事もしてくれなくなった。
中に私は居ない。
ミカちゃんも私を嫌っていた。
とう様ならとさがしてみたが、やっぱり居ない。
みんな私よりもベトベトでぐちゅぐちゅな物が好きなんだ。
かあ様にだって私は居なかった。
中には知らない小さな奴が入っていた。
私じゃない。
なんで私じゃないの?
何でもこんな気持ちの悪い小さな変な奴が居て、私は居ないの?
私は好きじゃなかったの?
腹が立ったからかあ様はゴミ箱にすててしまった。
ポチが私にすり寄ってくる。
ポチなら私が居るはず。
だっていっぱい遊んだもの。
いっぱいいっぱいお話ししたもの。
私のこといっぱいいっぱいいっぱい舐めてくれたもの。
居ない筈がない。
私はポチを開こうとした。
するとポチは私を咬んで、私が開いた。
中には、先生もミカちゃんもとう様もかあ様もポチも。
私も居なかった。
1人。
私が1人。
私の部屋で私は1人。私の家で私は1人。
私のクラスで私は1人。
私の学年で私は1人。
私の学校で私は1人。
私の街で私は1人。
私の国で私は1人。
私の地球で私は1人。
1人。
1人?
1人!
1人ー。
ひっとり。
ヒトリー。
ひとーりー。
独りぼっち。
私は独りぼっち。
どこを探しても見つからない。
先生 ミカちゃん とう様 かあ様
そして 私 の中にも居なかった。
私はこんなに大好きなのに。
誰にも私は居なかった。
独りだ。
独りぼっちだ。
寂しいよぉ。
独りぼっちは嫌だよぉ。
ポチの中には居て欲しい。
せめてポチだけは私を嫌いにならないでほしい。
でも、私はもう居ないから。
結局私は1人だけ。
私はやっぱり独りだった。




