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僕の私の夢は超イージーモード。だった・・・  作者: ma-no
四章 宇宙人との戦争

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41 刑事の報告


 終業式の翌日の朝、蒼正は緊張しながら身支度をしていた。有紀は事前に出掛ける話を聞いていたので、助言を忘れ無い。

 ただ、その助言があまりにも多くて蒼正も辟易(へいえき)。もういいからと少し怒りながら家を出た。


 自転車に乗って向かった先は、ちょっと遠くにある大きめの公園。待ち合わせより少し早く着いたが、公園の入り口には石坂がタバコを吸いながら立っていた。

 蒼正に気付いた石坂はタバコを携帯灰皿に押し込んで奥に進んで行ったので、蒼正は自転車を止めて早足で跡を追う。


 そうして人気(ひとけ)の無いベンチにて、石坂と蒼正は隣り合わせに座った。


「今日は山下さんは居ないんですね」

「ああ。あいつはアレでも英語が達者だからな。連絡役でアメリカに置いて来た」

「英語喋れたんだ……」

「見え無いだろ? あっちじゃ俺の方がお荷物になっていた」


 挨拶程度にここに居ない山下の名前を出したら、石坂は誇るのでは無く苦笑いで後輩の武勇伝を語っていた。


「ま、山下のお陰で、NASAの科学者は信じてくれたと言う訳だ」

「山下さんのお陰というより、石坂さんが色々やっていたように聞こえたんですけど……」


 NASAを口説き落とした方法は、まずはJAXAから。勿論JAXAにも話になら無いと追い返されたが、石坂の人脈で所長の弱味を手に入れて無理矢理テーブルに着かせた。

 そこで宇宙人からの返信の話を持ち出し、その方向を調べてくれと頼み込んだら、何か巨大な質量のモノが地球に近付いている事が分かった。


 ここからは話が早い。近付く物は物体の反応では無いのだから、石坂の伝えた宇宙人の正体は精神エネルギーの集合体説は半分は信じて貰えた。

 今起こっている事態もJAXAのスタッフと共に世界中の情報を集めたら、宇宙人の攻撃の可能性も否定はされ無かった。


 しかし宇宙人の本体の到着日時は、JAXAだけの技術力では不足していたから、NASAの協力を得無くてはならない。

 所長に説得とアポイントを任せた石坂と山下は、時間が無いからとその足でアメリカに飛んだ。


 アメリカに着くと山下の英会話力で、諸々は突破。NASAの科学者も自分の目で地球に近付くモノを確認していたから、すぐに面会となって話を聞いてくれた。

 今まで集めた資料と共に山下が力説すると、宇宙人の攻撃説もなんとか受け入れてくれたが、アメリカ政府を口説き落とすには問題が山積みらしい。


「ま、信じられる訳無いですよね」

「それもあるが、お国柄だ」

「お国柄??」

「日本でも要人は次々死んでるだろ? アメリカはその比じゃない。上層部から中層部まで死に、就任したヤツも次の日には死ぬ。それが州や市、軍隊にまで広がっているから、何もかもが制御不能だ。危うく帰って来れ無い所だった」

「うわっ……山下さん、そんな所に残されてるんだ……」


 ここはアメリカが世界中から恨まれている事に驚くべき所だが、まだ若い蒼正は気付いていない。次に思った事は、そんな情報は日本に入っていないので聞いてみた所、要人が死に過ぎてアメリカも情報過多で報道が追い付か無いらしい。



「それで、そっちは動きがあったか?」


 石坂の目的は宇宙人の情報。インターネット回線を使いたい所だが、宇宙人に通信網を乗っ取られている可能性があるから直接聞きに来たのだ。


「侵略部隊ってのが到着しています。本体の到着も残り二週間ぐらいだと言ってました」

「もうそこまで来ているのか……少し待て」


 石坂はスマホと文庫本を取り出すと、文庫本を開いて電話を繋ぐ。そして何ページ何行の何文字目と次々に告げて電話を切った。


「カッコイイですね。昔のスパイみたいです」

「まさかこのご時世に、世界大戦時代の暗号なんてやるとはな」


 石坂がやっていた事は、暗号通信。一字一句同じ本を二冊用意して、相手に伝えるアナログな物。これならば、例えハッキングされても宇宙人に内容が分から無いのだ。


「しかし、侵略部隊か……ならば、あの突然死は侵略部隊の犯行の可能性があるな……」

「突然死ですか?」

「ああ。数日前から、朝になると家族が死んでいるという通報が多いんだ。怪我や病気の症状がひとつも無い綺麗なご遺体で、死因も分から無いらしいんだ」

「確かに宇宙人の攻撃かも……その人が犯罪者か誰かを恨んでいたかどうかを調べたら、宇宙人の攻撃かは確定出来ますよ。アイツら、汚い魂は要ら無いみたいな事を言ってましたし」


 蒼正の助言を聞いた石坂は鼻を掻いた。


「至る所で事件が発生しているから、人を集めるのは難しいだろうな……」

「ああ~……警察は今でもパンクしてますもんね。そういえば石坂さん達って、ちゃんと刑事の仕事してるんですか?」

「有給休暇中だ。じゃないと、こんな趣味みたいな捜査は出来無い」

「そりゃそうですよね~」

「ま、そのお陰で、忙しいだけの無駄な仕事をやらなくていい訳だがな」


 石坂は助かったと肩を(すく)める。ただ、そろそろ警察にも宇宙人の話をしようと思っているらしく、絶対に信じ無いし、仕事をほっぽり出して有給休暇を取った事を色々言われるだろうから行きたく無さそうだ。


「ところでなんですが、宇宙人襲来の話って、誰が世界に発表するんですか?」

「国連も壊滅しているから、アメリカにしてもらう予定だ。今は世界に伝え無いままトップを決めるように助言をしている最中だろうが、どうなることか……最悪の場合は、NASAがやる手筈となっている。ま、もう二週間しか無いなら、NASAがやるしか無いだろうな」

「後はいつ発表するかですね」

「発表出来無いままって可能性はあるけどな」


 リーダーに成り得る国も組織も人物も居ないのだから、地球滅亡のカウントダウンすら伝えられるかは微妙な所。

 そもそもそんな突拍子の無い話を信じさせる事も容易では無いから、このまま知ら無いまま滅亡した方が幸せなのでは無いかと話し合う二人であった。


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