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僕の私の夢は超イージーモード。だった・・・  作者: ma-no
三章 夢が繋がった理由

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35 警察署


 夢の中の世界に爆風が吹き荒れる中、蒼正と純菜は爆心地を注視していた。その煙が晴れて来た頃に、ボールのような物を発見した。


「クッ……ここまで強いのか。だが、本体が辿り着いたら、強さ等意味を成さ無い。この星の百倍の質量を持っているのだからな。わ~はっはっはっはっ」


 そのボールは宇宙王子の生首。捨て台詞を残して、塵となって消える。


「念の為、ホーリーサークル」

「僕も使わせてね。ホーリーサークル」


 そこに純菜と蒼正が追い討ち。何発も撃ってから、顔を見合わせる。


「これで塵も完全消滅して、仲間に情報は行か無いかな?」

「どうだろうね。夢を繋げているのはアイツらとか言っていたから無理かも?」

「でも、私達の魔法の事は知らなかったよ? 役割が違っていて共有されて無いんじゃ無い?」

「それだと助かるんだけどね~……まぁ夢の中では、ヤツらに聞かれたく無い事は口にしないでおこう」


 二人がオーバーキルを繰り返したのは、宇宙人が情報を持って帰る可能性を見越して。ここからは慎重に二人が持っている宇宙人の弱点は隠す事に決まった。


「あ~あ……私達って、後どれぐらい生きられるんだろ?」


 一息吐くと、純菜は物寂しそうに呟いた。


「さぁね~……二十三億光年とか言ってたから、案外僕達が寿命を迎えるまで本体は来無いかも? もしかすると、本体が到着する前に人類が滅んでいるかもね」

「フフフ。それだといいね」

「それでもアイツら、いつまでも僕達の夢の中に刺客を送って来そうだけど……」

「その時はその時だよ。一緒に撃退しよ」


 これまで何度か、知らず知らずだが宇宙人らしき敵と戦って来たのだから楽観的に考える二人。


「それで……この事、誰かに言う?」

「いちおう警察に伝えておこうと思う」

「絶対に信じ無いと思うな~?」

「だろうね。でも、ダメ元だ。明日、学校サボって、僕達の夢の事を話した刑事さんに会って来るよ」

「それなら私も行くよ。二人の方が心強いでしょ?」

「うん……一緒に行こう」


 こうして宇宙人を撃退した純菜と蒼正は、明日の約束をして夢から覚めるのであった。



 翌日は、二人共母親に休みたい旨を伝え、了承されたら朝の内は情報収集に努める。そして昼食を終えたら前回のデートで着た服に着替えて待ち合わせ場所のバス停へ。

 夢の中以外で会うのは少し照れがある二人だが、同級生は今頃学校に居るから見られる事は無いので、手を繋いで警察署へやって来た。


 警察署に入ると職員が慌ただしく動いていたから、どうしていいか良く分から無い。とりあえず受け付けらしき場所で、以前貰っていた名刺を見せて石坂達を呼び出して貰う。

 そうして忙しそうな職員を見て待っていたら、山下が走って来た。


「丁度いい所に来てくれたね。でも、まだ手が離せ無くて、もうちょっと待っていてくれる? こっちこっち」


 山下も忙しいのか、蒼正達の返事を聞かずに先々歩いて行くので付いて行くしか無い。その後は殺風景な部屋に通された二人は、「取調室かな?」と興味津々で話が弾んでいた。


「ゴメンね~。もう忙しくて忙しくて」


 およそ三十分後、山下が謝りながら入って来て、その後に石坂が姿を現した。そして二人が着席すると、山下が申し訳無さそうに話し出す。


「丁度、吉見君と話をしたかったから、そっちから来てくれて助かったよ。今日は堀口さんも一緒なんだね」


 その言い方に引っ掛かった蒼正。


「僕達に何か用があったのですか?」

「いや~……まぁね~……」


 山下は石坂に目配せすると、石坂が変わって話を切り出す。


「先日の夢の話だ。裏取りをした所、加害者だと言われた者の夢は、被害者の怪我の位置とほぼ一致した。だからもう一度話を聞きたかったのだが、色々忙しくて出向く事が出来無かったのだ」

「と言う事は、僕の話を信じたのですか?」


 まさか信じると思っていなかったのだから、蒼正だけじゃなく純菜も驚きを隠せ無い。


「正直、まだ半信半疑だ。だから夢のプロとして聞きたい。他の加害者は、狙った夢を見ていなかった。つまり明晰夢(めいせきむ)は使え無いのだ。それでも殺人は可能だと思うか?」


 最初は蒼正も明晰夢が原因だと思っていたから、純菜に目をやって頷くのを見たら応える。


「たぶん……その人がリアルに想像して見た夢なら……」

「例えば総理大臣でもか?」

「たぶん……え? ひょっとして、僕達を疑ってます??」


 いきなり超が付く大物が出て来たので蒼正が構えると、石坂は頭を掻いてから覚悟の目に変わる。


「ここだけの話だが、昨日の朝、血濡れの総理がベッドに居たらしい。これは何処にも出ていない極秘事項だ。これで疑っていないと信じて欲しい。外でも喋るなよ?」

「いや……そんな極秘事項、言わ無いでくれません?」

「それほど切羽詰まってんだ。うちの管轄でも、死者が二人も出ている。それなのに俺達の話は上に伝わら無い。何言ってんだと、爪弾き者だ」


 石坂はお手上げと言わんばかりに、体も万歳の態勢になった。蒼正と純菜は「そりゃそうなるわな」と顔を見合わせ、目だけで会話をしていた。


「一応、警察の仕事をしておくが、総理の件は関係無いよな?」

「関係ありません。殺す理由もありません」

「そう怒るな。警察の仕事をすると前置きしただろ。お前達じゃない事だけは信じている」


 石坂的には、黙っていれば絶対にバレ無い夢の話をしたのだから、総理暗殺やその他の事件の犯人からは蒼正達を外していたらしい。


「ところでなんだが、お前達で犯人を特定する事が出来無いか?」

「誰の夢なのか分かる訳が無いので無理ですね。ただ、この一連の事件の大元は分かったような分から無いような」

「どっちだ?」

「ぶっちゃけ、僕達もまだ信じ切れていないと言うか……」

「もう何を聞いても驚か無いから言ってみろ」


 石坂は夢の中の犯行で耐性があると言わんばかりの顔をして催促したが、蒼正から話を聞くと……


「「宇宙人だと~~~??」」


 前言撤回。山下と一緒にめちゃくちゃ驚くのであった……


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