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僕の私の夢は超イージーモード。だった・・・  作者: ma-no
三章 夢が繋がった理由

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32 刑事の質問


 初デートを終えた純菜と蒼正は悩んだ末、帰りの電車は一緒。朝会った時はどちらも誰か分から無かったから、同級生にもバレ無いと予想してだ。

 その予想は的中し、誰にも指を差され無い。というか、同級生が(そば)に居たかさえ定かでは無い。二人はずっとお互いの顔を見て喋っていたからだ。


 最寄り駅が近付くと蒼正から名残惜しそうに降り、純菜も寂しそうに次の駅で降りて家に帰る。

 その後はどちらも母親からどうだったかの質問の嵐だったので余韻(よいん)も楽しめず。クタクタになって、夢の中で再会した。


 その愚痴を言い合い朝になったら目覚め、何か言われ無いように前髪で目を隠して登校。早く夜にならないかと思いながら学校に向かい、どちらも恋人の事を考えながら授業を受ける。

 そうしていつものように足早に家に向かっていたら、蒼正はバスを降りた所で二人の男に道を塞がれた。


「ちょっとゴメンね~。お兄さん達は警察ね。ちょ~っとだけお話いいかな?」


 蒼正が構えていたから、山下は優しい口調で声を掛けて警察手帳を見せる。石坂も手帳を開いて見せると、少し警戒を解いた。山下は胡散臭く感じたらしい。


「何かあったのですか?」

「ここじゃなんだから、そこの公園でいいかな? 次のバスの乗客に迷惑掛かるから。ね?」

「はあ……」


 言われるままに蒼正は刑事の後に続き、ベンチに座らされる。山下だけしゃがんで目線を合わせると、質問が始まる。


「前に同級生の事で警察署に来て貰ったでしょ? その時、担当者が聞き忘れていた事があってね」

「はあ……」

「SNSとかはやってる?」

「いえ。やるのも見るのも嫌な気分になりそうだし」

「そっかそっか。学校の友達以外で連絡を取り合っている人は?」

「特には……」


 最初の質問だけは少し緊張した蒼正であったが、的外れの質問が続くので無難に答えて行く。


「ちなみにだけど、怪我をした同級生には恨みを持ってる?」

「まぁ……イジメられていましたし……」

「あ、ゴメン。思い出させちゃったか~」


 安心した所で直球の質問が来たから、少し警戒してしまった蒼正。


「もうひとつだけゴメンね。君が誰かに頼んでやらせた訳じゃ無いよね? あ、これは皆に聞いてる事だから」

「頼む相手も居ません」

「だよね~。ゴメンね。変な事聞いて」


 またド直球が来たが、今回はすぐに返せた蒼正。ここで質問は終わったのか、山下は石坂と耳打ちし合い、石坂が頷いたら蒼正との話に戻る。


「これで聞き忘れた事は終わりだから安心して。有り難う。じゃ、石さん。堀口純菜さんの所に行きましょうか」


 蒼正がホッとしたのも束の間、純菜の名前が出て焦る。警察は何か掴んでいるのかと……


「ま、待って下さい!」


 そのせいで、蒼正は大声で呼び止めてしまった。


「どうしたのかな?」

「え、えっと……堀口さんとは……友達だから……」


 山下の質問にも、シドロモドロだ。ここで初めて石坂が口を開く。


「ああ。小学校の同級生とは調べてある。何か聞かれて(やま)しい事があるのか?」


 その高圧的な口調で完全に嵌められたと察した蒼正。だが、唇の端は少し上がった。


「刑事さんは意地悪ですね。イジメをしていたアイツらと同じやり口だ」

「これも仕事だからな。かと言って、我々は正確な事を聞き出す為にしか、駆け引きなんてしない。ずっと見ていたが、いったい何を隠しいるんだ?」


 流石はベテラン刑事。若手の山下に喋らせて石坂は蒼正の表情や仕草を注視していたのだ。


「別に何も……」

「それは堀口に聞いても問題無いと言う事だな?」


 蒼正的には、何を聞かれても問題無いとは思っているけど、純菜に警察を近付けたく無いと思ってしまった。


「真相を言ってもいいですけど、絶対に信じ無いですよ? 絶対に嘘だと決め付けます。それでいいですか?」

「嘘かどうかは裏取りをして決める。好きに話せ」


 蒼正はニヤリと笑う。


「刑事さんは明晰夢は知ってますか?」

「……メイセキム??」

「見たい夢をコントロールする事だ」


 山下は知ら無かったが、石坂が説明してくれてので先を続ける。


「例えばですよ。例えばイジメのストレス発散に、イジメをしていた人に復讐する夢を見ていたら、罪に問われますか? 問われる訳ありませんよね? じゃあ、もしもそれが現実に影響をもたらしたら……これはどうですか??」

「夢の中では物証も殺意も立証出来無い……」

「ですよね? それが僕が言える全てです。信じるか信じ無いかは、どうぞ裏取りで決めて下さい」


 蒼正はこんな事態の為に、少しは法律の知識を入れていた。物証も殺意も無しには裁かれない。ましては超常現象での殺人なんて、前代未聞で調べようが無いのだから。

 その蒼正のカミングアウトに、山下は何言ってんだという顔をしているが、石坂は顔色をひとつも変えずに問い(ただ)す。


「それが事実だとして、これからも復讐を続けるのか?」

「いえ。僕達はもう、実在の人物を登場させ無いと決めました。そんな醜い姿をお互い見せたくありませんので。だから、そっとしておいてくれると助かります。真相を喋ったんだから、もう行っていいですか?」

「あ、ああ……」


 石坂の許可を得て、蒼正は会釈してから去って行くのであった。



 公園に残された刑事達は、石坂がベンチにドサリと座ってタバコに火を点けた所で山下が問い掛ける。


「まさかの超能力って……先輩は信じます?」

「信じる訳無いだろ。かと言って、今起きている事件は、夢の中の犯行と当て嵌めた方が収まりがいい気もする」

「加害者も夢の中の犯行が現実に影響するなんて思っていなかったら、知る訳無いと言う事ですか……てか、これ、どうやって調書書いたらいいんすかね? 絶対、怒られますよ」

「それどころじゃないぞ。もしも無意識でやっていた奴が、意識的にやり始めたらとんでも無い事になるぞ……」

「あ……要人の暗殺……」


 山下が最悪の未来に気付くと、石坂は携帯灰皿に吸い殻を押し込んでから立ち上がった。


一先(ひとま)ず加害者と名指しされた人物から聞き取りだ。行くぞ」

「は、はい!」


 こうして蒼正から情報を得た二人は、加害者から夢の内容を聞いて頭を抱える事になるのであった……


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