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僕の私の夢は超イージーモード。だった・・・  作者: ma-no
三章 夢が繋がった理由

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29 久し振りの冒険物


「へ~。そんな事あったんだ~。良かったね」


 ここは夢の中のファミレス。校長訪問の話を笑顔の蒼正から聞いた純菜は、自分の事のように喜んでくれている。


「あ……僕ばっかりこんなに幸せになってゴメン……」


 だが、純菜もイジメ被害者。そんな人にこんなに浮かれた話を聞かせるなんてと気落ちする蒼正。


「いいのいいの。もしもの時はフリースクール行くし」

「その時は言ってよ? 僕も同じ所に行くから」

「嬉しいけど、吉見君は高校行って。本当にイジメが無くなるのか知りたいし、本当に無くなったら楽しい高校生活の話を聞かせて欲しいの」

「でも……」

「私は大丈夫。それに最近クラスの雰囲気も良くなったから、案外うちもイジメは無くなるかも?」


 あっけらかんと語る純菜だが、蒼正は心配でならない。なのでここは純菜の気持ちを汲み嘘で合わせて、最悪の場合は蒼正もフリースクールに行くと心に決めた。


「それでこないだの話なんだけど……」


 純菜のモジモジした問いに、蒼正は何を聞きたいかすぐに気付いた。


「だからアレはね。どれぐらい付き合ったら、そういう話になるか聞きたかっただけなんだよ。キスの時も、大事な所で揉めちゃったでしょ? それにここは夢の中なんだから、キスも初めてと言っていいか分から無いし」


 ドライブデート後のキスでは拒否されたのだから、蒼正は今回の件は聞いておきたいらしい。


「そう聞かれると答え辛いんだけど……」


 その質問は純菜に気を遣っているように見えるけど、エッチをしたい日を聞かれているような物だからデリカシーの欠片が無いと受け取られても仕方が無い。


「そうだよね……まずは現実で会ってから、この話はしよっか?」

「うん……明日、ママと服買いに行くね」

「あっ! 僕も行かなきゃ! 頼むの忘れてた!?」

「もう~。このままじゃ、いつまで経っても会えないよ~?」

「今日は忙しかったから~」


 まだデート用の服も用意出来ていないのだから、まだまだ会えそうに無い二人。お互いどんな服が好みかを教え合い、時間が過ぎて行くのであった……



 翌日は日曜日。純菜は予定通り母親と一緒にお出掛けして、デート用の服をおねだりする。そんな事をされたのは初めてなので、母親は時々からかっていた。

 蒼正はおねだりが遅くなったので、お昼過ぎから行動を開始し、こちらも母親にからかわれていた。後、ダメ出しを何度も喰らっていた。蒼正の選んだ服は、ダサイんだとか……


 なんとか服は買えたので夢の中では、お互いいつでも会えると報告。次の日曜日に会う事にして、場所も少し遠くの遊園地に決まれば、後はいつものようにお喋りに移行する。


「そういえば最近、喋ってばかりで夢の中で遊んで無いね」

「本当だね。こんなに自由に出来るのに、何してるんだろ?」

「遊園地デートは……日曜日に取っておこっか。ジェットコースターとか、あまり調べて無いから想像出来無いし」

「だね。私も詳しく無い。縁の無い場所だと思っていたし……あ、久し振りに冒険物にしない?」

「いいね~」


 陰キャには陽キャが遊ぶ場所は縁遠いと避けていたので、お楽しみは現実で。二人で制限時間に間に合うストーリーを考えて、ファンタジー世界の冒険に出る。

 パーティは二人だけ。蒼正が聖騎士、純菜が聖女に変身してストーリーを消化して行く。


 王様から魔王討伐依頼を受け、王都を出たら人々を守りながら雑魚モンスターを倒す。少し巻いて、次の町は中ボスと大量のモンスターに落とされた町だ。

 そこは家屋が破壊され、廃墟のようになっている場所。蒼正と純菜は、歯の浮くような台詞を言い吹き出して笑ってから、崩れた門から入って行った。


「なんか手強くない? 吉見君が設定イジった??」

「いや、僕は何も……お互い情報交換したから、モンスターの連携が良くなってしまったのかも?」


 いつもよりモンスターの動きが良くなっているから不思議に思う二人。だがこの程度は、イージーモードを脱却していない。

 そもそも二人のレベルはマックスに設定しており、ラスボスですら半分。いくらでも力押しで進んで行けるのだ。


 少し気になっただけで町の中心に向かえば、ウルフ、ゴブリン オーク、スケルトン等々。整列した大量のモンスターが待ち構えていた。


「なんでこんなに待ち構えてるの?」

「さあ? ……設定ミスったのかな??」


 これも不思議な出来事。しかし数が多くてもなんとかなるかと、このままの設定で進めようと話し合う。

 そうしているとモンスターが両脇に避けて道を作り、そこを中ボスに設定していた巨大な人型モンスター、トロルキングがドスンドスンと大きな音を出して歩いて来た。


「お前達だな。我々の仲間を殺したのは……敵対行為と見做(みな)し、排除する」


 トロルキングのおどろおどろしい声に、蒼正と純菜は同時に首を傾げた。


「中ボスは喋ら無いはずなのに喋っているって事は、やっぱりミスってるね」

「まぁ久し振りだもんね。こんな事もあるよ。最初の頃はもっと酷かったし」

「んじゃ、ちゃっちゃとやりますか」

「広範囲魔法、行きま~す」


 失敗を認めた二人は、早くも戦闘開始。純菜の聖魔法が地面から複数空に昇り、モンスターが次々と空に舞い上がって塵となる。


「それがどうした! こちらはまだまだ居るぞ! 突撃だ~~~!!」

「だから設定外の事言わないでくれる?」


 トロルキングが指揮を取り、モンスターが純菜の魔法を抜けて突撃して来るが、蒼正はのほほんと対応。

 大盾を構えて前に出すだけで、盾の形をした光がモンスターを突き飛ばす。それを前面九十度、隙間無く飛ばすのだから、モンスターが近付ける訳が無い。


「もうこんなに減っちゃった」

「トドメと行きますか」

「うん! 援護する!!」


 ラストは、蒼正が盾を構えて電車道。モンスターを跳ね飛ばしてトロルキングに辿り着くと、一対一に持ち込む。


「私は雑魚とは違うぞ~~~!」

「一緒だよ」


 トロルキングが巨大な棍棒を振るっても、蒼正の大盾を崩せず。それどころか剣での反撃に遭い、たまに純菜の魔法を喰らい、二人にタコ殴りにされて塵となるのであった。


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