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僕の私の夢は超イージーモード。だった・・・  作者: ma-no
三章 夢が繋がった理由

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27 蒼正が気付いたこと


 学校や警察の事情聴取を終えたその日の夢の中は、蒼正は早く寝過ぎたのでしばし待機。暇なので、なんとなく制服と学校の教室をイメージしてその中で待っていた。

 そうして待っていたら、制服姿の純菜が後ろ側のドアを静かに開けて入って来た。


「堂々と入って来たらいいのに」

「アハハ。つい癖で」


 夢の中でも教室は気を遣ってしまう模様。蒼正がツッコムと、純菜は笑いながら隣の席に座った。


「んじゃ、今日の事を詳しく話すね」


 ある程度の事はスマホでやり取りをしているので、蒼正はまずは坂本校長との会話を詳しく説明する。


「そんないい校長先生が居たんだ……」

「僕もビックリ。まだ何も手を付けて無いから、信用はして無いけどね」

「本当に一人で戦い続けられるかは確かに見物だね」


 イジメられ続けた二人は性格が曲がっているけど、どちらかと言うと信じたいような感じになっている。


「まぁイジメの事で脱線しちゃったけど、呼び出されたのはこっちが本題ね」


 警察の話はあまり詳しい事を教えていなかったので、純菜は怒りながら聞いていた。


「なんで吉見君のせいにするかな~? 何か悪い事をしてたからはぐらかそうとしてるんじゃない? クスリとか」

「僕も最初はそう思ってた。怪我の具合を聞いてもざまぁみろとしか思わなかったよ」

「何か意見が変わる事あったの?」

「うん……」


 蒼正は少し溜めてから一気に喋る。


「二日前……その日、僕って夢に来るなりイジメっ子をボコボコにしたって言ったじゃない? その方法が、両手両足を折って逃げ出せないようにして、蹴りまくったんだ。んで、現実のイジメっ子は、両手両足を骨折して、体が(あざ)だらけだったんだって」


 蒼正の言いたい事が分かった純菜であったが、息を飲んでから続きを催促する。


「つ、つまり……」

「うん。僕達の夢が現実に影響してる……と、思う」


 ここは自信が持て無いので、最後は濁した蒼正。


「そ、そんな事ある?」

「無いと言い切れる? 僕の怪我は治ったんだよ? 前にボコボコにした五十嵐ってヤツは、顔面陥没して入院中だ。そっちも警察来たよね? アレって同じ日の出来事だよね??」

「ああっ!? 榎本絵梨香の取り巻きが私のせいって言ってた!? 私がその子達を刺した次の日から全員休んでる!?」


 偶然とは言い難い一致。純菜は思い出した直後は驚愕の表情だったが、見る見る顔が青くなる。


「ちなみにだけど、その時って殺して無い?」

「う、うん……たぶん……榎本絵梨香の時は、殺す手前で吉見君が来たし。取り巻きの時は……なんだか吉見君の顔が浮かんで、途中で止めたと思う」

「僕も同じ。顔を踏み潰そうとした時に堀口さんの顔が浮かんだから、なんかどうでも良くなって止めた。それが無かったらと思うと……」

「取り返しが付か無かったね……」


 夢の中はあくまでも夢。ストレス発散にやっていただけで、現実世界では殺したくてもその勇気が無いから絶対に出来無いこと。

 それなのに知らず知らず人殺しになっていたら、心が耐えられたか分から無い。二人共、たまたまお互いの顔が浮かんで踏み留まった事は幸運でしか無い。


 蒼正と純菜は、震える体を優しく抱き締め続けるのであった……



「それで考えたんだけど……」


 気持ちが落ち着き、お茶を飲んでホッコリした所で、蒼正は家に帰ってから考えた案を提出する。


「僕達のせいで怪我した人をここに出現させたら、治せるんじゃない?って話」

「あっ!」


 蒼正の案に大賛成と思ったのも一瞬で、純菜の顔はすぐに嫌そうな顔に変わった。


「治さなきゃ……ダメ?」

「ううん。僕も治す気無いもん」

「だよね~? 今まで酷い事されてたもんね~?」

「今後はここに登場させ無いって事にしよっか? まぁ過去のイジメっ子への仕返しは、セーフって事にしたいけど……」

「うんうん。やり過ぎたら治せばいいだけだしね」


 今なら、復讐はやりたい放題。それほど恨みを持っているのだから、止める人が居ない。ただ、治せば拷問もやり放題だと気付いた蒼正と純菜は、人道に反しない程度の復讐を話し合う。


「なんか病んでるね……」

「うん。心が(すさ)んでるね……」


 でも、自分達の性格の悪さが突き刺さり、暗い顔になった。


「もう止めとこっか? なんだかんだで、今は堀口さんが居るから幸せだし」

「うん……私も吉見君にそんな姿見せたく無い……」


 再会する前ならいくらでも残虐に何人でも殺せた二人だが、今は悲しみを共感出来る人間が居る。悔しさや怒りを聞いて貰える人間が(そば)に居る。

 それに彼氏彼女になったのだ。愛する人にそんな醜い姿は見せられ無い。一人では無理な事でも、二人ならなんだって乗り越えられるのだ。


 もう恨みは忘れて、今を楽しもうと決意した蒼正と純菜であった。



 それからは楽しい話ばかりしていた二人であったが、蒼正はこれからの話に踏み込んでみる。


「ちょっと聞き難い事なんだけど……」

「なに?」

前以(まえもっ)て聞くだけだよ? 変な風に受け取ら無いでね?」

「だから何よ~?」


 蒼正の話は、男なら今すぐしたいコト。何度も確認を取ると純菜もだいたい察しが付いたので、どう応えたモノかと考えながらその時を待つ。


「アレってなんだろ?」

「え??」


 しかし、蒼正は教室の窓を指差したので、純菜は蒼正が怖気付(おじけづ)いたと思いながらそちらを見た。


「なんか居るね……吉見君が出したの?」


 ここは夢の中でも三階に設定した教室。それなのに窓の外には、黒い人影が浮かんで居る。それどころか、窓も壁も素通りして教室に入って来るのであった……


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