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僕の私の夢は超イージーモード。だった・・・  作者: ma-no
三章 夢が繋がった理由

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25 担任と対決


 しばし教師批判をしていた二人であったが、蒼正は自分の事ばかり聞いて貰うのは悪い気がして純菜に話を振る。


「そっちは最近どう? 大丈夫??」

「最近は……けっこう通い易いと思う。こないだ嫌な事を言われた程度かな?」

「嫌な事って?」

「なんかね。榎本絵梨香ってクラスのリーダーみたいな子が居てね。前にイジメを扇動してるって言った子……その子が入院してるのは私のせいとか取り巻きに噂を流されたの。呪いとか魔法とか言ってたけど、使えるなら真っ先に殺してるよね~?」

「うん。入院程度で終わる訳無いよね~?」


 なんだか怖い事を平気で言ってるけど、それ程の恨みがあるのだから、考えるぐらいはイジメ被害者の特権だと言い合っている。なんなら純菜は、その日の内に憂さ晴らしした内容を語って蒼正を楽しませていた。


「それに今日学校に行ったら、率先して私にイジメをしていたグループが全員休んでたの」

「いいな~。うちも居なくなれば、絶対平和になるのに」

「いいでしょ~? 聞き耳立てたらみんな嫌いとか言ってたよ。このまま居なくなればいいのにだってさ」

「ホント、堀口さんの為に居なくなって欲しいね」


 蒼正に取っては(うらや)ましい話だが、純菜の安全の為には口が悪くなってしまう。しかし、トップや標的が代わるだけで、イジメと言う物は無くならないのでは無いかと真面目な話にもなっていた。


「そんな奇跡的な事もあるんだね……だったら、明日、学校行ってみるよ」

「怖いなら無理しなくていいよ?」

「怖いけど、何言われるか気になるし。もしもの時は、フリースクール行けばいいだけ。溜まってた文句も言ってやるよ」

「その時は私も付いて行くからね」

「うん」


 今日も甘い雰囲気になった所でタイムアップ。純菜に背中を押された蒼正は、覚悟を持って目覚めるのであった……



 朝、蒼正は夢の中で手に入れた覚悟を持ったまま登校した。電話で言われた通り職員室に直行すると、担任の渡辺が対応して生徒指導室に移動する。

 話はホームルーム後にすると言う事なので、蒼正はしばし待機。夢の中で純菜と話し合った様々な対応策を思い出していたら、渡辺と校長の坂本が揃って入って来た。


「今日ここに呼んだのは、吉見さんに少し聞きたい事があっての事で……」


 軽く挨拶して着席した渡辺は、緊張した感じで切り出した。


「五十嵐さんのグループと親しくしていたよね? そのグループ全員が入院した事について聞きたいのですけど……」

「はい??」


 イジメをしていた者と親しくしている訳が無いや、何を言ってるんだと苛立ちの顔をした蒼正であったが、全員が入院していると聞いて声が上擦った。


「だからね。吉見さんが関係しているんじゃないかと先生は思っているんだ。吉見さんがやったのか?」


 この台詞は、明らかに渡辺は犯人扱いしているので、蒼正の我慢の限界に達した。


「ふざけるなよ……イジメ被害者は何をされても干渉しない癖に、イジメ加害者は守るのか……僕が何が出来るんだよ! しょっちゅう殴られてるんだぞ! お前、見てただろ! 僕に出来そうか? それとも、僕を犯人に仕立て上げたらお前のクビは繋がるのか!? マジでお前、何考えてんの! それでも教師か~~~!!」


 涙ながらに叫ぶ蒼正。こんなに大声を出せるのかと冷静に見ている自分も居るが、それよりも怒りが勝り、渡辺を睨み続ける。


「聞いていた話と乖離(かいり)があるな……吉見君、少し待っていて下さい。渡辺先生はこちらへ」


 坂本も冷静に。しかし手には力が入っており、渡辺の服を掴んで立たせると、追い出すようにして自分も部屋から出て行った。

 しばらく待たされた蒼正もクールダウンして座っていたら、坂本一人だけが戻って来て、優しい表情で語り掛ける。


「吉見君には、多大な心痛を掛けた事、ここにお詫びします」


 そして深々と頭を下げるからには、蒼正は少し混乱した。中学校の校長は謝罪もせずに、示談金でどうにかならないかとお願いばかりしていたからだ。


「謝られても、僕はあの教師は許せません。一生恨み続けて生きます」


 しかし、裏があるとしか思え無い蒼正は謝罪を突っ()ねた。


「ええ。被害者なのですから、気持ちまでは私には止められません。ですが、その気持ちを少しでも(やわ)らげられるように、学校としては渡辺先生を厳罰に処すと約束します」

「渡辺に罰を与えるから黙っていろって事ですか?」

「いえ。吉見君が安心して高校に通えて、楽しい思い出をたくさん作れるようにしたいだけです。イジメに関わっていた生徒も、厳しく対応するつもりです。ここは私を信じてくれませんか?」

「僕の質問の答えになっていないのですが……」

「そうですね……起こった被害は、教育委員会に全て報告しましょう。マスコミには親御さんと相談の上、発表すると言うのはどうでしょう? それをしてしまうと吉見君が学校に居辛くなるかも知れませんが、何があっても学校が吉見君を守ると約束します」


 あまりにも綺麗すぎる対応策なので、蒼正は逆に疑うような気持ちになっている。


「どうして僕なんかにそこまでしてくれるのですか? 校長先生の評価が悪くなるんじゃないですか?」

「私は民間から校長になった身なので、評価とかはあまり気にして無いんですよ。その立場のせいで、教師陣から嫌われていると言うか……この際この事件を使ってグチャグチャにしてやるのも有りかなと。つまり利害の一致と言う訳ですね。フフフ」

「はあ……」


 ここまで坂本がぶっちゃけるとは思っていなかった蒼正は、思考が止まってしまって空返事。ただ、坂本が悪い顔で笑っているから、やっぱり大人は信用出来無いと思ったらしい……


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