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僕の私の夢は超イージーモード。だった・・・  作者: ma-no
三章 夢が繋がった理由

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24 予期せぬ出来事


 ピピッピピピッとスマホのアラーム音が部屋に鳴り響く。


「はぁ~……言わなきゃ……はぁ~……」


 夢の中で純菜に応援されて覚悟は決めても、自分の口から母親の有紀にイジメられてますと伝えるのは、どうしても言い出し辛い蒼正。

 何度もスヌーズ機能を延長していたら、仕舞いには有紀からもドア越しに怒られたので、蒼正は渋々ベッドから出た。


「あぁ~……そういえば怪我してたんだった」


 そこでカミングアウトを決意した理由を思い出した蒼正は、どっちみち怪我を見せる事になるから引くに引け無いと覚悟を決める。


「アレ? 寝る前はあんなに痛かったのに……アレレ~??」


 だがしかし、骨折してるのでは無いかと思える程の痛みがひとつも無い。上着を脱いで卓上鏡の前に立っても、昨日あった(あざ)がひとつも見付から無い。

 小さな鏡では見辛いが、頑張って背中も確認していたら有紀がドアをノックした。その声は先程とは違い、心配そうな声だったので蒼正は元気な声で返し、慌てて上着を着て部屋を出る。


 リビングに入ると、有紀は不安な目で蒼正の顔を見た。


「本当に大丈夫? 夜もしんどそうにしてたでしょ?」

「たぶん、もう大丈夫……?」

「何その言い方……しんどかったら休んでいいよ」

「う~ん……そう、しよっかな? 本当はなんか体が(だる)いし」


 今日はイジメ被害をカミングアウトしようと思っていたのに、証拠の怪我が無いのでは言い難い。それに学校に行ってしまうと、昨日の二の舞いになりそうだと今気付いた蒼正はお言葉に甘える事にした。

 一応体温を計ってみたけど平熱。だが、有紀は特に気にせず学校に連絡を入れ、仕事に向かうのであった。



 同日、堀口家の朝……


「おはよう」

「あ、おはよう。もう出来てるよ」


 純菜がリビングに顔を出すと、朝食の準備を済ませた母親の晴美がテレビに釘付けになっていた。その横顔を見ながら純菜は席に着き、スマホを置いたらテレビに視線を移す。


「子供がお父さんを殺したんだ……」

「うん……シングルファーザーだって。寝てる時にグサリって怖いね……」

「私はそんな事しないよ?」

「うんうん。知ってるよ。さあ、食べましょう」


 暗いニュースは自分達の境遇に少し似ていたから見入ってしまっただけ。晴美はチャンネルも変えて、明るい話題を探したらすぐに見付かった。


「またスマホばっかり見て~」

「い、いいでしょ」

「私もそんな時期あったわ~。今が一番楽しい時期だ」

「そういうのじゃないから」


 晴美はウザ絡みして来るので、流石に苛立つ純菜。その時スマホが揺れたので、純菜は晴美に見られないように隠して画面を確認する。


「え?」

「どうしたの? 彼氏からでしょ??」

「もう! 本当に止めて」

「あ……ゴメン。調子に乗り過ぎました」


 ついに純菜に限界が来て睨んだのだから、晴美は平謝り。純菜は朝食を掻き込むと、小走りに自室に駆け込んだ。


「え? どいうこと? 怪我が治った?」


 蒼正が自分に嘘を吐くとは思え無い。ただ、連絡を取り合うと、蒼正も混乱しているらしく学校が終わってから話をするという事になったので、純菜は後ろ髪を引かれるがスマホを置いて学校に向かうのであった。



 学校から急いで帰った純菜は、スマホを握るとさっそく蒼正にメッセージを送る。返事はすぐに返って来たが、また面倒な事になっているらしい。

 夜まで何度もやり取りはしたけど、夢の中でも二人はその話題で持ち切りだ。


「まず、確認させて。怪我はしたんだよね?」

「うん。それは間違い無く……これまでで一番痛みはあったし……全部は確認して無いけど、痣は何個もあった」

「そんな怪我は、流石に一晩では治ら無いわよね……」

「可能性としては、思ったより軽症だったとか? 傷の治りが異様に早いとか?」


 蒼正の答えが一番可能性が高いけど、純菜はもうひとつ答えがある。


「初めの頃に、夢の中で怪我したじゃない? アレって現実に引き摺って無かった??」

「あったね。それからは怪我に気を付けるようにしたけど……え? ひょっとして、堀口さんのヒールが効いたって言いたいの??」

「うん……最初の怪我は現実に引き摺って、夢の中で治したら現実でも治ったって言うから……」

「いや、アレは、ベッドから落ちたのもあるし、怪我自体も軽かったし……」


 夢の中で怪我をするならその逆も(しか)りと純菜は考えているが、あくまで可能性のひとつであって自分でもそこまで信じていない。この話はここで一旦切って、次の話に移行する。


「イジメの話は……どうするの?」

「今日は混乱してたから、出来無かったんだよね。それに怪我を見せて話そうと思っていたから、また言い難くなっちゃった」

「だよね~。まぁそれは焦らず考えよ」

「ラ〇ンでも言ったけど、違う問題もあるんだよね~」


 母親にイジメ被害の話をする事は純菜も勇気がいるので、蒼正のタイミングで話すのがベストなのだから、それ以上は言え無い。


「今日休んだら、学校から電話が来たって話よね?」

「うん。このまま休むのかと聞かれたから、明日には行くかも?とは応えた。あんまり行きたく無いけど……」

「リンチされたもんね……てことは、それを知って体調を聞いたって事かな?」

「アイツらがそんな心配し無いと思うけど……どちらかと言うと、朝から職員室に来いとか言ってたから、口止めされそうな予感がする」

「あぁ~……有りそう」


 どちらも教師に恵まれていないのだから、最悪なケースしか思い付か無い蒼正と純菜であった。


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