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僕の私の夢は超イージーモード。だった・・・  作者: ma-no
二章 二人の世界

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21 初デート


 純菜の乙心を傷付けた翌日、蒼正は学校から帰ってからは様々なネタをインプットして、夢の中へと飛び込んだ。


「ゴメ~ン。待ったよね? 中々寝付け無くって」

「うん。すっごく待った。これは何かして貰わないと許せないな~?」

「うん! 僕に任せて!」

「え? 冗談なんだけど……」

「行こ行こ」


 夢の中に入るには、必ず時間は合わ無いのだから純菜も怒る訳が無い。それなのに蒼正は急かしてファミレスから出て行った。


「ババ~ン!」

「車?」

「スーパーカーを用意してみました~」


 純菜が外に出ると、そこには車高の低い真っ赤な車。蒼正は助手席側に移動して、ガルウイングのドアを上に開けたら純菜に入るように促す。

 妙にテンションの高い蒼正は、純菜が座るのを確認したらドアを閉め、自分は駆け足で走って行って運転席に座った。


「なんか凄い車だね」

「そそ。数千万はする車だよ。夢の中じゃ無かったら、生涯乗れ無いだろうな~」

「そんなにするんだ……ところで運転なんて出来るの?」

「そりゃ夢の中だもん。出発するよ~?」

「何処行くんだろ~」


 夢の中でのドライブ。なんでも有りだったと思い出した純菜は、ここから急に心を躍らせた。ドライブデートは、夢の中でもやった事が無かったらしい。

 そうして蒼正がアクセルを踏むと、スーパーカーはとんでも無い加速で出発。走行音も異常にデカイ。


「速い! うるさい!? ぶつかる!? キャ~~~!!」


 夢のスーパーカー、純菜に不評。動画サイト通りの映像と音だけど、見た動画が悪かった。蒼正はドライブデートに向かないレース動画ばかりを見て夢の中で再現してしまったのだ。


「ゴ、ゴメン……全体的に半分ぐらいの出力にしてみる」


 なので、テンションも迫力も一気にダウン。音だけは甲高い音が残っていたので、いつも乗ってるバスのエンジン音に変えたから、スーパーカーが泣いている。


「そんなに落ち込まなくても……安全運転してくれたら怖く無いから。ね?」

「うん。気を付けます」


 気を取り直して蒼正が運転に集中すると、速度は全然速くないのに窓の景色が次々変わる。田舎の町並みから田畑に変わり、峠の道路。トンネルを抜けた先には海の景色。

 純菜はここまで綿密にドライブデートのコースを用意してくれたのかと感動している。そうして海に架かる大きな橋を走っていると、純菜も楽しそうだ。


「凄く綺麗だね。ここって日本なの?」

「日本だよ。しまなみ海道って聞いた事無い? 本州から四国に架かる橋なんだけど」

「名前は聞いた事あるけど、初めて見たかも? 大人になったら、リアルで連れて来て欲しいな~」

「えっと……僕の車でってこと?」

「う、うん……」


 何気ない一言に蒼正が照れるので、純菜にも伝染。窓を開けて火照った顔を冷やそうとしたけど、風までは再現出来ていなかった。

 少し言葉数は減ったけど橋は渡り切り、家が増えて来たと思ったら急に都会の真ん中。スカイツリーだって見える。


「あはは。四国にスカイツリーか~」

「ちょっとショートカットし過ぎちゃったかな?」

「ううん。夢の醍醐味だね。凱旋門とかも見たいな~」

「今日はちょっと難しいな~。また勉強しなくちゃ」

「あ、けっこう時間がいるよね。私が調べてコースを担当しよっか?」


 次回のドライブデートの候補地で盛り上がっていたら、蒼正の目的地に到着。堂々と路上駐車して、二人共にスーパーカーを降りる。


「ラウ〇ドワン……どんだけスポ〇チャ行きたかったの?」

「い、いいじゃん。高校生はこういう所に来るもんでしょ?」

「スポーツカーで乗り付けてってのは、高校生はしないけどね」

「本当だね……」


 蒼正の考えたデートプランは支離滅裂。せめてドライブせずにアミューズメント施設に来れば普通のデートに見えたのでは無いかと反省する蒼正であった。



 初めてスポ〇チャに来たのだから、小言を言っていた純菜も嬉しそう。蒼正の袖を握って一緒に中に入る。

 一応受付はあるけど店員なんて居ないので、ここは素通り。まずはバスケで遊び出したが、二人してダンク連発。なんだかこれはこれで面白く無いので、現実の世界の実力を発揮してみたら、二人して大笑いだ。


「吉見君、下手だね~」

「堀口さんこそ、ドリブルも出来て無いじゃん」

「女子だからいいんです~」

「ズルイな~」


 お互い運動はそこまで得意では無いらしい。それでもしばらく続けたら、次はローラーブレード。これはこけてばかりだったので、すぐに夢を操作して滑っていたが、どちらかというと失敗の方が楽しかった様子。

 それからも様々な遊戯で遊んで、次はカラオケでもと部屋に入ったら、二人してモジモジし出した。


「音痴だったらどうしよう?」

「僕も初めてだから、音痴かも?」


 体を動かす事は苦手なのは前々から知っていたけど、音楽の授業はいつも口パクだから歌い難いらしい。なんとか覚悟を決めて蒼正から歌い出したけど、微妙な感じ。純菜もそこまで上手く無いみたいだ。


「なんか、念仏みたいだったね」

「うん。どっちも声が小さかったね」


 恥ずかしいからって、純菜も蒼正も声量不足だから上手く聞こえる訳が無い。


「アニソンもどうなんだろ?」

「大人になったら困りそうね」

「まぁ練習だけならいくらでも出来るから、声を出す練習はしとこっか?」

「うん。次回は流行りの歌でも持ち寄ろう」


 まずは羞恥心を取っ払って歌い続ける蒼正と純菜。そうして小一時間程歌ったら、二人はこんな事を口にした。


「「カラオケなら現実でもいいんじゃない?」」


 そう、カラオケは個室。誰にも気兼ね無く歌える場なのだから、夢の中じゃ無くてもいい。なんならうろ覚えの歌ばかりなのだから、歌詞を見ながら歌える現実の方が歌い易いのだから……


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