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僕の私の夢は超イージーモード。だった・・・  作者: ma-no
二章 二人の世界

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16 別行動


 純菜と蒼正が夢の中で出会ってから一ヶ月。高校に入学してからは二ヶ月となっているので、新入生も学校生活に慣れて来たのかイジメが少しずつ酷くなっている。

 しかし二人に取っては、この程度はまだ優しいイジメ。それに夢の中に入れば、楽しく喋れる人が居るから苦にもしていなかった。


 何を喋っているかというと、お互いがお勧めした本や映像の話。夢の中でも再現出来るが、一度目は本等からストーリーを楽しみたいし、友達とこんな話をしたくて仕方が無かったのだろう。

 それと同時並行で、夢の改造。普段の夢を再現して相手に遊んで貰い、改善点を挙げてもらう。アダルト展開の物は、どちらも恥ずかしいのかまだ出せ無いでいた。


 そんな楽しい夢の中なのに、今日は純菜が一人になりたいと告げて蒼正から離れて行った。ご丁寧に巨大な壁や鍵付きの扉を作って引き籠ったのだ。

 蒼正は学校で嫌な事があったのだとすぐに気付いたから、そっとしておこうと考える。しかし、付き合いは短いしどこの誰かも分から無いが、友達と呼べる人物が苦しんでいるのは自分の事のように辛い。


 悩みに悩んだ蒼正は、夢の中でまで自分を偽りたく無いと覚悟を決めて、純菜の跡を追った。

 頑丈に見える扉も、蒼正ならお手の物。取っ手を掴んで解錠しているとイメージするだけで扉は簡単に開いた。


 その先は、夜に(たたず)む校舎。かなり妖しい雰囲気の漂う建物だ。


 蒼正はちょっと怖いなと思いながら入り口から入り、良く出来てるなと辺りを見ながら暗い廊下を歩く。

 純菜は何処に居るかなんて分から無いので、今まで話をした内容から上の階に居るのでは無いかと当たりを付ける。


 階段を二階まで進んだその時、何かが上に向かって走って行くというより宙に浮いているような動きで暗闇に消えた。


「山田さん? 山田さんだよね? ひょっとして、ドッキリ仕掛けようとしてる??」


 てっきりイジメ被害で落ち込んでいると思っていたのに、幽霊が出たので違う可能性が頭に浮かんだ。

 なので蒼正は懐中電灯とピストルを装備して、純菜の偽名を口にしながら上の階に移動する。


 三階に到着した蒼正は、壁に隠れて素早く左右の確認。左側は何も居なかったが、右側には何か黒いモヤが浮かんでいたので、勢い良く飛び出してライトと銃口を向けた。


「あの教室に入ったな……あそこでドッキリ、もしくは幽霊の親玉が待ち構えている感じかな? ホラー物は苦手なんだけどな~……なんで銃なんて持ってるんだろ?」


 幽霊に物理なんて効く訳が無い。そのミスに気付いた蒼正であったが、何か持って無いと寂しいのか、そのままピストルを構えたままゆっくりと前進するのであった。



 時は少し戻り、三階にある教室の一室。そこに純菜はイジメっ子グループの女子数人を並べて、一人ずつナイフで滅多刺しにしていた。


「死ぬ死ね死ね!」


 普段は追い詰めて命乞いさせてから殺す事が多いが、イジメが酷い日は追い掛けるのも面倒なので、嫌いな人を順番に滅多刺しにする事が通例らしい。

 そうして教室内が血の海になった所で、最後のお楽しみ。今一番嫌いな、クラスメイトで女子グループのトップに君臨するモデル級の美少女、榎本絵梨香を目の前に立たせた。


「ん? 今、何か視界がブレたような気がしたけど……ま、いいか」


 その時、違和感があったけど、(たか)ぶった純菜はそれを無視する。


「綺麗な顔に生まれて良かったね。その顔、グチャグチャにしてあげるわ!」


 まずは手始めに、絵梨香の左頬をナイフでザックリと切る。


「キャー! 痛い! 熱い!? 何これ!?」

「キャハハハ。それが私の気持ちよ! そのままじゃ綺麗な顔が台無しだね。逆も同じ傷にしてあげる!」

「待って、止めて……なんで体が動かないの!? キャーーー!!」


 絵梨香の待ったなんて聞く耳持たず。純菜はナイフを絵梨香の右頬に突き刺し、同じ大きさになるようにゆっくりと切り裂いた。


「ウフフ。綺麗よ」


 そして軽く押すだけで絵梨香は尻餅を突いて倒れ、純菜は馬乗りになってナイフを舐める。


「痛い……痛いよ……待って。助けて……お願いします~~~」

「キャハハ。いつも偉ぶってるのに無様ね~。あんた、中学時代もイジメを先導してたんでしょ? 同じ事言われなかった? それで止めてあげたのかな~? キャハハハ」


 純菜が笑いながら問い掛けると、泣き叫んでいた絵梨香は驚愕の表情を付け足した。


「ほ、堀口さん? 堀口さんが、なんでこんな酷い事を……」

「理由なんて言わなくても分かるでしょ? イジメグループのリーダーなんだから」

「ち、違う……」

「違わ無い。ねえ? 私があんたになんかした? なんでイジメられなきゃならないの? なんで放っておいてくれ無いの??」

「し、知ら無い……私じゃ無い……」

「そう。ま、なんでもいいけどね!」

「ぎゃああぁぁ~!!」


 夢の中の住人との問答なんて面白くも無いので、純菜は絵梨香の肩口にナイフを突き刺す。


「胸も大きいわよね。少し小さくしてあげるね」

「止めて……ごめんなさい! 私がやりました! もうやりませんから助けてください! ぎゃああぁぁ~~~!!」


 無情にも純菜は絵梨香の胸を切り裂く。本当に切り取ってもいいが、ここは半分に切った方が笑えるみたいだ。

 それからも絵梨香の命乞いが続くが、純菜は淡々と脇腹や肩口といった致命傷になら無い場所ばかりを突き刺していた。


 そして純菜はそろそろメインイベントだと腹や胸を滅多刺しにしようとしたその時、教室のドアがガラッと開いて、何かが飛び込んで来た。


「ッ!?」


 それと同時に強烈な光が目に入った純菜は目を瞑る。


「あ、山田さん? 僕だよ?」


 蒼正だ。教室の中から凄い悲鳴が聞こえていたから、かなり凝った幽霊でも待ち構えているのでは無いかと、軍人が敵兵の巣窟に踏み込むような入り方をしたのだ。


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