表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

仙人掌

作者: 廣風直

 植物を育てるのが上手な母のことを、魔法使いだと思ったことがある。我が家にはサボテンがあった。いつからあったのかは覚えていないが、小さな可愛いサボテンだった。

 

「サボテン凄いことになってるね。」

 私は久しぶりに実家に帰った時に際に、それこそ久しぶりにサボテンを見た。

「それねー。ぽこぽこぽこぽこ増えちゃって、わたしもビックリしてたんだよね。」

「これって昔からあったやつでしょ? 魔法でも使ったの? サボテンってこんなに増えるもんなの?」

「水なんてたまにしかあげないんだけど、何故だか不思議と増えるんだよね。」

 一つしかなかったはずのサボテンの植木鉢が五つにもなっていた。そして、それぞれが先ほど母が言った通りの様子で、ぽこぽこと小さな子供がたくさんくっ付いていた。母は新しく生まれた子供を違う植木鉢に植え替えて、増植させていたのである。

「良かったら、一つ持って帰らない? 水は本当にたまーにあげるだけで大丈夫だから。」

「それなら一つ貰おうかな。」

 私は軽い気持ちで植木鉢の一つを、一人暮らしをしている部屋へと持ち帰った。植物を育てるということが、生活の豊かさに繋がる様な気がしたのである。母の言っていた通り、気付いた時に水をあげていたら、次第に大きくなってきた。鉢を一回り大きなものに替えたぐらいである。一緒にいても大して気を使う必要のないこの植物に、私はとても愛着が湧いていた。

 

 久しぶりに水をあげた。サボさんは美味しそうに水を飲んでいた。

「おい、ほんとに久しぶりだな。忘れられてるかと思ったよ。たまにでいいからさ、冷たい水をかけてくれよ。」

「ごめん、ごめん。最近忙しかったんだよ。忘れるわけないだろ、長い付き合いなんだから。」

「それならいいけどさ。あんまり無理すんなよ。」

「ありがとう。」


 今も元気な彼は私達家族をいつも見守ってくれている。これからもどうぞよろしく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ