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「粋な暴走パトカーボーイ」
コンビニに行った.
レジの列に並ぶ際,列の少し後ろでおっちゃんが商品をじっと見つめていた.列とはちょっと間隔が空いてるし,熱心に品物を見ていたので列に並んでないと判断し,おっちゃんの前に入って列に並んだ.
するとおっちゃんは即座にこちらを向き,「なんでそこおんねん」と無愛想に言う.どうやら並んでいたらしい.並んでるか尋ねるべきだったな〜としょんぼりしながら,おっちゃんの後ろに並んだ.
コンビニ内では4歳くらいの男の子が,おもちゃのパトカーにまたがり店内を蛇行運転していた.そしてどうやらこの男の子,おっちゃんの息子さんらしい.向こうのほうからすごい勢いでこちらに駆けつけ,おっちゃんの横に停車した.とんでもない暴走パトカーである.
男の子はあたりを見回したあと,ニッコニコの笑顔で僕の方を見て「こんにちは」と挨拶してくれた.めちゃくちゃ可愛かった.おっちゃんの態度やパトカーの危険運転などに苛ついていたのがバカらしくなった.
数秒後,赤ちゃんは再びこちらを向き,ニッコニコの笑顔で「こんにちは」と挨拶してくれた.心が浄化されていく.祖父母からもらったお年玉の額が予想よりかなり低くて途方に暮れていた自分がバカらしく思えてきた.
数秒後,またこっちを向いてこんにちはと挨拶してくれたが,ちょっともう飽きてきた.他にレパートリーはないんだろうか.おしゃべりリカちゃんを見習ってほしい.ガキンチョは唐突に車を少し動かし,「ぼく,ぶつからないよ」と自慢げに告げる.
ぼくはにこにこ笑いながら,「ヘェ〜,ぶつかっても大丈夫だよ〜」と言ったのだが,数秒後に,あれ,俺何言ってるの???と思った.ぶつかって大丈夫なわけないだろう.無難にえらいね〜とか,安全第一だよ〜とか言っとけばよいものを…
「初夢何も覚えてない」
毎年正月の夜は,ナスビでろ〜ナスビでろ〜と唱えながら就寝するのだが,一向に夢にナスビが出現する気配がない.今年に至っては夢の内容を一ミリも記憶していないという有様である.
そもそも夢の中にナスが出てきた事がない.富士もない.鷹もない.
「自由席は嫌だ自由席は嫌だ」
うどん県から岡山県に向かう電車の中で,ちびっ子が泣き喚いていた.耳を澄ませなくても声がよく聞こえてくる.
「やだぁぁぁ!!!イヤだぁぁぁ!!!自由席はやだぁぁ!!!指定席がい〜い!!!!自由席はやあだ!!!!ああああああああ!!!」
解説させていただくと,この正月時期の新幹線は全ての車両が指定席車両に設定され,自由席車両は設けられていない.
ただこの時期に限り,自由席特急券でデッキや通路に乗車することができる(無論ずっと立ちっぱなし).
この親子は指定席特急券が予約できず,泣く泣く自由席特急券で立って乗ることを選択したのだろう.
泣き叫ぶちびっ子に同情しながらも,自由席は嫌だと言うフレーズが気に入ってしまいずっと腹抱えて笑っていた.悪い大人である.