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「港区男子」
メルカリやらジモティーやらでいい感じの机を探しまわり、ようやくいい感じの机を見つけた。机はいい感じだが、取引場所が「東京都港区」だった。港区なんて僕のような下マッチ、ちがう下町っ子は入っただけで身の毛がよだっちゃうエリアであり、なるべく近寄りたくないんだけど、机がいい感じだったので渋々車に乗った。ドライブ中、高層ビル群を見つけるたびに「うわ〜東京っぽい〜〜〜」と言いながら写真を撮った。気分はお上りさんです。
なんだかんだ待ち合わせ時間より13分くらい早くついた。マンションの部屋の前で取引ということなので、マンションの前に停車してしばらくぼーっとしていたのだが、周りにいるのがレクサス、JEEP、ベンツとどデカい車ばかりで、我がワゴンRちゃんは完全に萎縮している(ように見える)。僕も群れをなす「港区女子」たちによって港区から追放されないかとか、ヤクの売人に窓をノックされないかとかありえない妄想・心配を繰り返し、居てもたってもいられず車から飛び出し、マンションの入り口に入った。
部屋番号を押して呼び出しボタンを押そうとしたところでふとマンション名があっているのかが無性に気になりだし、マンションを出て確認してみたら違うマンションだった。一つお隣のとこに来てしまった。呼び出しボタン押す前に気づけてよかった。あと、エントランスにもマンション名書いといてほしい。よろしく。
さて、気を取り直してお隣のマンションに来たんですけど、こっちのマンションの方がなんとなく高級感がある。リッチなマンションだ。立地もリッチだね。
さてさて、気を取り直してインターフォンを押すと、男性の「どうぞ〜」という声とともにドアが開いた。一瞬「おお!ドアが開いた!!!すごい!!!」と思ったけど、よく考えたらどんな貧乏マンションでも大抵自動で開く。マンションに住んだことないので慣れない感覚だ。
部屋に到着しベルを鳴らすと、中から僕と同年代くらいの若いスタイリッシュな青年が出てきた。なんでこんなに若いのにこんなリッチなマンションに住めるんだろう。ホストなんだろうか、外資系コンサル勤めなんだろうか、親がお金持ちなんだろうか、10年前気まぐれでビットコインを買ったのだろうか。闇バイトの元締めなんだろうか。青年は会話や動作もスタイリッシュで、僕がエレベーターで去る時も、ずっと頭を下げていた。
帰りの車の中でもずっとあの青年のことを考えた。なんでこんなに生活水準が違うのだろう。生まれたタイミングは大体同じだし、腕が2本あるのだって同じだし、鼻毛だって生えてるだろうし...
ボロアパートに戻ると、部屋中にほのかにおばあちゃんち臭が漂っている。開けっぱなしになっていたタンスの引き出しが臭い発生源のようだ。しつこい臭いに辟易としながらも、やはり貧乏生活の方がたのしいなぁと思った。
(...これって負け惜しみ???????)
ボロアパートで貧乏飯を食うことが僕にとっては自然で快適だし、リッチなマンションで良いものに囲まれて過ごすというのが彼にとっては自然で当たり前。それを維持するために働いたり自己研鑽するのも彼にとっては当たり前、ということなんだろうなぁ…
ボロアパートで貧乏飯食うのは努力せずともできちゃうので、僕の港区男子レベルは上がらず、彼我の差はどんどん拡大していく…
ウケる(号泣)




