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麒麟児
とつぜん、空から降ってきた岩石によって押し潰される尊堂の三匹。
悲鳴をあげて、虹色の輝石をばらまき、消滅する。
尊堂は構え、新たな対手が同じ目線に降りてきて、転倒しているいままでの対手の前に立ち塞がるのを確認した。
「すまんな、対手としては不足だったろう」
「……麒麟児か?」
くるぶしまで達する長い金髪、こめかみから伸びる鹿のような金の角。
いくら人の名前をロクに覚えられない尊堂でも、さすがのその名前ははっきりとわかる。
「ちゃんと覚えているな、追放者」
その金髪がニヤリと笑ったのに対し、尊堂は顔をしかめる。
「そのワードを使うな、体制が……」
「あまり怒るな、心臓が悪いんだろう?
聞いたぞ……手術はまだ必要だとな」
「貴様……!」
尊堂は、しかし自制する。
憤怒にふるえる右手は、ペンを壊しかねないほどの握力で、いつでも暗殺用のエを描けるぞと脅迫せんばかりのていでいつつも。