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厳重警備のネックレス

夢の羽はその場で解散し、各自家に帰る。俺は帰って変身を解き、そのままヘッズオブドラゴンの拠点に向かう。エリスと話すためだ。

「エリス、今から領主の屋敷に行かないか?」

「いいけど…… 何しに行くの?」

「今、姫様から依頼があるだろ? あのネックレスを見に行きたいと思ってな。領主ならどこで管理されているか知ってるだろうからな」

「わかった。でも私でいいの? アリエッサの方がいいんじゃない……?」

「ああ、領主はアリエッサは苦手らしくてな。連れて行かないほうが話が早いと思うんだ。ついでにエリスの方から軽く騎士に稽古をつけてあげれば領主も喜ぶだろ」

「なるほどね。わかった」


俺たちは歩いて領主の館に向かう。

「今日のパーティで怪盗が出たらしいね……? アンとエッジが騒いでた」

「ああ、声だけだがな。怪盗予告をして去っていったよ。不思議なやつだ。そういえばキキと色々あって模擬戦をしたぞ。剣と魔法は禁止だったが、普通にボコボコに負けたよ」

「へえ。カミトが負けるなんて珍しい。そんな強かったんだね」

「LV3の状態だったから負けたっていうのはあるだろうが、結構強かったな。エリスなら勝てると思うが、剣と魔法禁止というのは斬新で面白かったよ」

「いいね。私も戦ってみたい」


 そんな話をしていると領主の館に到着した。館には色々な者が出たり入ったりしており騒々しい。おそらく先ほどのパーティの件を受けて臨時で対応が検討されているんだろう。

「すまない。今、領主と話すことは可能か?」

「少々お待ちください! すぐに確認します!」

 門番に話しかけるとすっ飛んでいった。そこまで緊張しなくてもいいのにな。別に遅かったら斬り殺すというわけでもないのにな。


「少しであれば今大丈夫とのことです! ついてきていただけますでしょうか?」

 俺たちは門番について領主の部屋へ向かう。領主の部屋は2階の1番奥の部屋である。防犯上の理由だろう。大きな屋敷を歩いて行く。

「いつも思うが大きい館だよなあ。何十人でも滞在できそうだ」

「こちらは領主様の仕事場にもなっておりまして、事務仕事をするスタッフが滞在しているのでそれに見合った広さになっています!」

 俺の独り言に答えてくれる門番。なるほど、日中は仕事をしている者たちがいるんだな。どうりで大きいわけだ。

「おお、カミト殿とエリス殿。どうされましたか?

「忙しいところすいません。「サクラの秘宝」を見たいと思いまして。キキに渡される前はどう管理されているのか確認しておきたいと気になったものですから」

「なるほど、皆様も怪盗逮捕に協力されているのですか?」

「ええ、まあそんな感じです。シールドオブワールドとは別行動ですけどね。他のクライアントから依頼がありまして。見せていただければ代わりと言ってはなんですが、本日エリスが騎士達に稽古をつけることも可能です」

「おお、それはありがたい。サクラの秘宝でしたらこの館の地下で管理しています。騎士をつけますので一緒に向かっていただけますか? 見終わりましたら少し彼らに稽古をつけてやってください。今騎士を呼ぶので少々お待ちを」

「ありがとうございます」


 呼ばれた騎士の案内で、俺達は地下に向かう。館の地下には多数の部屋があった。このスペースも含めると本当に壮大な館だな。何百人を格納できるんじゃないか?


地下の一室、その前で騎士は立ち止まる。ここがサクラの秘宝が管理されている部屋のようだ。金属の扉で鍵がかけられており、普通の者が力技で破ることができる気配はない。俺やアリエッサであれば可能かもしれないが、爆音が鳴り響くだろう。


「この部屋は重要な物を管理する部屋です。そのため、魔法の発動出来なくする魔道具を設置し、管理しています。普段は警備員はいないですが、怪盗の予告を受けて2人の警備員が24時間管理をしています」


「魔法を発動出来なくする、そんな魔道具があるんだな」

「ええ、極めて貴重な魔道具でして、重要な拠点にのみ設置されています。影響範囲は少ないのですが魔法は文字通り発動出来なくなるので、宝の管理などに使われています」

「なるほど、コンサート当日にその魔道具を持ち出すことはできないのか?」

「外に持ち出すことはできません。影響が大きすぎるからです。例えば明かりをつけたり、音を拡散したりする一般的な魔道具も全てが利用不可になってしまいます。なので今も部屋の中は松明で灯されているのです」

「魔道具も使えなくなるのか……」

「ええ、原理は同じですから」

 俺達は部屋の中に入る。確かに魔法を発動しようとしても何も反応がない。これが魔道具の力か。ある箱を騎士は指差した。


「こちらの箱に入っています。サクラの秘宝が入った箱を開けるには鍵が必要です。その鍵は警備隊長である私以外は使用できないことになっています」

「なるほど。頑丈な鍵だな。剣でも破壊するのは難しそうだ」

「ええ、力技での解除は困難でしょう」

 とりあえず、ここに保管される限りは大丈夫そうだな。俺はそう結論付けた。


「ちなみに持ち出されるのは本番だけか?」

「いえ、ここから持ち出されるのは2回です。1回目は前日のリハーサルです。キキ様から実際につけた感触を試したいとのリクエストがありまして。2回目は本番です」

「なるほど、ありがとう」


 警備機会は2回か。とりあえずそこだけ注意しておけばいいだろう。ここでの警備は領主に任せておけば問題なさそうだ。

 

 俺達は警備隊長をしているという騎士に礼をいう。そしてその後は約束通りエリスによる訓練だ。軽くであるが実際に打ち合って何かを教えていた。意外ではあるが、エリスもこういう訓練を気に入っているようで、少し楽しそうである。教育や指導が好きなのかもしれないな。そのうち弟子を取ると言い始めるかもしれない。


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