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カミラ姫のミッション 〜後編〜

カミラ姫が嬉しそうに説明を始める。ニコニコとしているが、その笑顔には怪しさしか感じない。

「今回、皆様にご連絡したのは、サクラの領主から王都に連絡があったからです。彼曰く、怪盗より、キキのライブで「サクラの秘宝」を盗むとの犯行予告が出ています。もうすぐ歌姫キキによるライブがサクラで開催されるのはご存知でしょうか?その目玉の一つとして、キキには「サクラの秘宝」と呼ばれる赤い宝石を使ったネックレスが貸与されるようです。


目玉の一つであり、さらに警察や領主のプライドもあるためサクラの秘宝の貸与を止めるということにはできないとのことでした。警察と冒険者で警備を行うようですが、怪盗は予告通り必ず盗みに現れるでしょう。皆様には怪盗に接触し、仲間になるように説得していただきたいです。宝石については回収してもしなくても構いません。ただ、サクラの面子を考えると回収した方が良いかもしれません。そこは皆様にお任せします。


もちろん普通の方法では怪盗を説得することは不可能だと思います。そこで、彼をコントロールするための魔道具をお渡しします。その魔道具については使者に渡していますので使者から説明を受けてください。以上ご理解いただけましたでしょうか? 報酬としては承諾で白金貨1枚、成功報酬でさらに2枚と考えています。是非お受けいただければと思います。それではこの映像は一度再生されると削除されます。私に追加で確認したい点は使者を通じてご連絡ください」

ボンッ。言い終わると同時に魔道具が燃えて崩れ落ちた。この魔道具は使い切りのようだ。


さて、今回のライブには非常に大きな赤い宝石、サクラの秘宝をキキがつけて歌うという目玉がある。これを偉大なる怪盗は狙っているようだ。その犯行を止める、もしくは犯行後に怪盗と接触しろとのことだな。


「使者さん、姫様が言っていた怪盗をコントロールするための魔道具ってなんだ?」

「はい、こちらになります」

そう言って使者が取り出したのは、指輪と腕輪だった。

「これは支配の腕輪と指輪です。腕輪を装着したものは指輪を装着しているものの指示には従わなければいけません。距離は関係なく指示は実行されます。また、腕輪は一度つけると、指輪を装着している者の指示がない限り取り外すことができません」


「遥か昔、この国に奴隷制度があった頃に使われていた魔道具です。今では所持・使用が制限されている物ですが、実物を見たことがあるものはほとんどいないため誰かに見つかって問題になることはないでしょう」

 いきなり犯罪スレスレの魔道具が登場し、動揺を隠せない。姫様は説得と言っていたが、強制しろということだな。まあ怪盗の考えや狙いが読めない以上、強制せざるを得ない可能性が高いだろう。説得中に謎の魔法で逃亡された目も当てられないしな。


「なるほど。今回の目的に関しては最適な魔道具だな。ちなみに姫様はなぜ怪盗を仲間にしたいんだ?」

「詳しい目的は伺っていませんが、姫は彼を仲間に引き入れることで、何か大きなことを実現することができると考えているようです。時代を変える2手目になる、とお話しされていました。それでこの機会になんとか接触できないかと考えておられます。本格的に親衛隊を動かす時の情報収集や潜入工作役ではないか…… というのが個人的な推測です」

 使者にもあまり具体的な理由を説明していないようだ。まあメイドがスパイという事件があったばかりだ。情報の流出には気をつけているのだろう。


「わかった。まあ、報酬は…… 悪くないな。成功報酬もあるしな」

「だな、白金貨1枚でもかなり遊べるぜ」

ジェフのいう通り、白金貨1枚あれば、一般家庭の年収の5倍程度になる。5人で割っても相当遊べる金額だ。報酬は悪くない。むしろ十分なほどだ。


 また個人的にこの怪盗という存在は気になる。単なる興味だが面白い存在だ。対面してみたい。対面して戦ってみるのも一興だ。どのような魔法を使ってくるだろうか、まだ見ぬ未知の魔法と対面できると思うと楽しみである。


「この依頼に関してはリーダー判断で受けようと思う。問題ないな?」

 頷くメンバー達。

「ということで姫様にはよろしく頼む。こちらは準備を進めていくよ」

「ありがとうございます。それではよろしくお願いします。私は当日まで近くのホテル「虎の尾」に宿泊していますので何かあればご連絡ください」


「姫様の元には帰らなくていいのですか?」

「ええ、特殊な連絡手段がございますので問題ありません。盗聴されるリスクが極めて低い方法ですのでご安心ください」

「分かりました」

 アリエッサの疑問に即答する使者。魔道具なのか魔法なのかはわからないが、便利なものがあるんだな。念話は王宮では制限されているとのことだったので、何かしら別の魔法や魔道具を使用するのだろう。いつか何を使っているのか聞いてみたいな。


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