第4章:合コンカラオケに行ってみた~その1
初めて合コンカラオケに行ったきっかけは、当時はカラオケブームだったので、駅前のカラオケ店は全て満室で、自分と良雄君と忠士君で、駅から遠い合コンカラオケの店に行ってみる事にしたのです。
完全予約制とはいえ、店の前に電話番号が書いてあったので、近くの公衆電話から掛けたら、18時~の回がたまたま1室空いていたからそこに入ったのです。
受付けでお兄さんが、
「本日は合コンカラオケ開催日なので、料金がお1人様2時間1470円になりますが、大丈夫でしょうか?」
と、聞いてきました。
自分が、2人に目配せて、
「別に気にしないでしょ?」
と、言うと、
「問題ないよ、空いてるならどこでもいいよ」
「土曜日でカラオケ空いてるなんてラッキー」
てな感じで、入ることにしました。
お兄さんが、
「こちらが合コンカラオケのシステムになります」
と言い、良雄君に紙を渡してきました。
良雄君と忠士君はその紙をろくに見ないで、
「はいはい分かりました」
「で、何号室?」
と、案内を急かして、そそくさと入室したのです。
自分はその後を、急いでついていきました。
部屋に入ると、良雄君は先程お兄さんからもらった紙を、邪魔そうにテーブルに置きました。
「合コンよりも歌いたい気分だよ」
と言って、すぐ横にあった歌本をパラパラとめくりました。
忠士くんは、エアコンをつけて温度設定をいじりながら、
「久々のカラオケだからガンガン歌おうぜ」
「演歌でも、アニソンでもドンドン入れようよ」
リモコンに番号を入力して、
「よし、送信!」
「はい、次々回して~」
初めの1曲づつを歌い終わるまでは、合コンカラオケを完全に無視していました。
順番は、良雄君、忠士君、自分で歌いました。
3人の歌が2周終わった時に、自分は白く光る大きめのエントリーボタンがある事に気が付きました。
ボタンの表面に、
「ここを押して下さい」
と、書いてあったので、何も考えないで押したら、10個あるモニターのうち消えていた1個に自分達が映し出されました。
「ヤバい!何かモニターに自分達が映ったんだけど…」
と、思いましたが、
「あ~、これが合コンカラオケってやつか」
と、理解しました。