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TimeLoop ~必ず彼を守りたい~

作者: EternalSnow

練習作


 それは、私のわがままから始まった。


 なんてことはない。

 ただ、否定しただけ。


 こんな世界は認めないと、こんな結末を望まないと。

 だからこそ、私は歓喜したのだ。


 過去に戻る。タイムリープ。

 前世でもそういった物語は幾重にもある。


 神様への祈りは欠かさなくなった。

 今でもこの習慣は続いている。

 どうか、次こそはと何度も祈った。





 何度引き裂かれたことだろう。

 希望が何度絶望の内に沈んだのか分からない。


 繰り返していくうちに私は強くなった。

 だけど、運命という歯車は、成功へと導くことはなかった。


 本当は神様は、あきらめなさいと言っているのかもしれない。

 人が、その運命に抗うことはできないのだと。

 何度も、知らしめ続けているのかもしれない。




 小さく、強く祈り続けた。

 どうか、幸せになってほしいと。

 それだけを祈り続けるようになった。


 私はこんな結末を望まない。







 始まりはいつもここから始まる。

 あなたが死ぬたった1時間前。

 せめて、もっと時間があればと何度も思った。


「どうした?」


 私が止まったのを見て、心配そうに見つめている。

 彼はどうやっても死ぬ。

 これから、確実に死の運命へと転がり落ちる。


 人懐っこいこの笑顔も失われる。

 それがとめどなく嫌だった。



 なんでもないよ。

 そう私は笑った。

 いや、笑えているのだろうか?

 何千何万、いやもっとかもしれない。

 彼が死ぬ様を見て……笑えてるのだろうか?


「そっか。ならいいけどさ」


 この言葉も変わらない。

 どうすればいい?

 これから、この村に軍勢が襲い掛かってくる。

 そうなった瞬間、彼は殺される。


 二人で逃げたとしても、馬には足で勝てず、殺される。

 そう、どちらにせよ。必ず私をかばって殺される。


 そして、私だけ助かるのだ。

 ほかならぬ、彼を助けようとした彼の親友の手によって。


【お前のせいだ】


 こびりついて離れないのだ。

 彼の親友の言葉が。

 幾重にも重ねてきた中でたった一度だけだったが、私にかけられた言葉だ。


 血濡れで無表情ににらんできた彼の親友は、すぐさま言葉を濁したがはっきりと聞こえた。

 私みたいな嫌われ者のために、彼が死ぬべきではない。

 

 彼と一緒の未来を歩みたかった。

 だけど、

 この繰り返しでわかった。



 私は彼のために、ここで死ぬために神様に生かされているんだ。


「この音!」


 絶望の鐘が打ち鳴らされた。

 村に着けられた非常用の鐘、村への襲撃を知らせる鐘の音。


 私の手を握って、彼は走った。

 今回は森に向かって走っていく。

 なら、木の上からか、それとも森に潜んでいた刺客か、それとも……追っ手か。


「大丈夫だよ。必ず僕が守るから」


 いつも彼はそういった。

 結果的に私は助かるけど、そんなことは私は望まない。

 あなたが死んだら何にもならないじゃない?

 

 私は覚悟を決めることにした。

 もう疲れたのかもしれない。

 その運命に身を委ねよう……。

 神様はきっとそのために私をループさせているのだろうから。



「危ないっ!」


 彼が私に飛びついてくる。

 そうか、今回は木の上からだったのか。

 それなら、飛びついてきた彼に転がされながら、彼に再度向かう刺客に身を投げ出した。


 刺客の手が止まった。

 理解、できないことだった。


 今の今まで、こんなことが起こったことはない。

 その隙をついて、彼は刺客を切り捨てた。

 放心している私を叩いてくれて、夢中に二人で走った。



 ああ、なんだ。

 神様は幸せなシナリオを用意してくれてたんじゃないか。

 私たちの二人ともかばいあったなら、助けてくれるようにしていたんじゃないか。



「無事か! 無事なんだな」


 彼の親友の言葉が聞こえた。

 いつもとちがって感情のある優しく、うれしそうな声だった。


「ありがとう。お前が居なければ彼は救えなかった」


 それで理解できた。

 私は彼を守れたんだろう。

 その言葉に私は大きく声を上げた。


「ヒヒーーーーン!!」

「うぉ! 突然どうしたんだ!」

「はは、ありがとうってさ。ありがとな相棒」


 彼は私を撫でてくれた。

 私に必要なのは、ほんの少しの勇気だったんだ。




オチから作って、ネタ付けと言う初めてのスタイルでした。

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