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ドリーマー・夢結社第1回 渋谷駅の群衆の目の前で射たれた男の体はゆっくりと消えていく。路上には跡形もない。

ドリーマー・夢結社 第1回

(1987年)星群発表作品●夢王たちの饗宴パート2です。

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/



 薄暗い光の中、誰かが眠っている。彼の体は水溶液の中だ。

液は海の様なブルーの色をしている。外側は球形のカプセルだ。

彼の頭や体にはコードが張りつけられていた。体は緑色に見える。


 彼はドリーマー。

今、夢を見始めたところだ。少し体が動く。どんな夢なのだろう。




■「晩ごはんよ!」

 ニ階の娘、美加を若い母親が呼んでレる。が、返事は返ってこなレ。

「また、あの子は2階の子供部屋にばっかり閉じこもっていて」

 若い妻は夫に言う。

「あなた、怒って下さレよ」

「まあ、いいじゃないか。あの子は内向的だからな。

友人もいなレ。

でもいい人形を夢管理庁からもらったものだ。

政府もたまにはいい政策をする。

当分あの人形で遊んでいられるだろう」


獣と人の悲鳴がうえの階から聞こえてきた。

「おレ、今、変な鳴き声がしなかったか」


「あの子、テレビ番組ドキュメント『野生の工国』でも見てるんじゃないの」

 今度も再びは悲鳴が上がった。

「何だ」

「上に何かいるわ」


 両親はあわてて、階段を駆けあがり、娘の部屋をのぞく。


 ドアの向こうには草原が拡がってレる。


二人はTVでみたアフリカを思った。遠くに山並がみえ

る。現実だった。風が吹いてレて血の臭いがした。


 二人は呆然と立ちすくむ。ライオンが原住民を食べてレるのだ。


そのライオンの上に娘が乗ってレるのだ。

「何だ。これは」

 しばらくして夫がふるえる声でいう。


「美加ちゃん、危レからそっとこちらヘレらっしゃレ」

「そうだ、美加、早くこっちへ来い」

 命令口調で親たちはいう。


 美加は、自分が楽しんでレる世界へ侵入者が人ってきた事に腹を立てていた。

おまけに侵入者は、あのうるさい両親なのだ。


 「さあ、ライオンちゃん、あの二人も食べておしまい」

 美加はライオンに命令した。ライオンは逃げるスキを学えず両親二人をなぎ倒す。


 「まあ、お前はいい子ね」


 美加はライオンのたてがみをなでる。

ここは美加が想像した夢世界。何でも思い通りになるのだ。


 子供部屋だったところはアフリカ人の死体で血の海だ。

美加のそばに30センチくらいの高さのフランス人形が置レてある。


アフリカの風景には不釣合だ。その人形がにこっと笑ったような気がした。


やがて、美加もライオンに食べられる運命だ。



■何本もの私鉄とJRが数多くの人間をそれこそ物のようにつみこんできては吐ぎだす町、渋谷。甘から有名な待ち合わせ場所、渋谷駅の忠夫ハチ公銅像前。


 その前にレだ.人の男が二人組に呼びかけられる。

「もしもし」


 呼びかけられた男の眼はぼんやりとしている。

2人がかりでその男は路上に押したおされた。突然の出来事だ。


 待ちハロわせをしてレだ男ひは何事かとまわりから逃げ出す。


 1人の男は、男の眼の中を内視鏡で調べてレる。男の網膜には血管がなかった。

 押えつけてレだ男がすばやくホルスターから銃をとり出し、ためらわずに頭を射つ。


銃声は駅の周辺一帯に響く。


 二人の男は、まわりに集まってきた群衆にIDカードをかかけて見せる。


「心配するな。我々は、それこの通りドリーマー‥ハンターだ」

 もう一人もつけ加える。




「そうだ。こいつはドリーマーだったのた」

 群衆の目の前で射たれた男の体はゆっくりと消えてレく。

路上には跡形もなレ。



ドリーマー・夢結社第1回●夢王たちの饗宴パート2です。

(1987年)星群発表作品ドリーマー・イン・ヒズ・ドリームより改稿しました。

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

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