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姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
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姫様の奥の手

「はーっ!」


気合いと共にアナスタシアがグレンに斬りかかる。グレンは跳躍しアナスタシアの後ろに着地する。


(よしっ!)


狙い通りのグレンの動きに合わせてアナスタシアは身体を回転させ後方を凪払う。しかしグレンは深く沈みこみアナスタシアに足払いを仕掛ける。


「うっ!」


転倒しそうになるが後方に転がり素早く立ち上がるアナスタシア。


(くっ!行動は先読みできても動きが速すぎて先手をとられる……。)


完全ではないにしろ、なんとなくグレンの次の行動を予測して動けるようにはなってきた。しかし、一手先を読んだところで身のこなしの速さで先に攻められてしまう。


(それに、こちらの剣線は完全に見切られてる……。)


斬撃、刺突ともに全て紙一重でかわされる。その気になればカウンターで即勝負は決するだろう。そうしないのは、力量差による余裕であろう。


(こんなに差があるのか……。)


アナスタシアとてグレンの方が強いのは自覚していたが、ここまで差があるとは思わなかった。まるで大人と子供ではないか。


「考えは纏まったか?行くぜ?」


グレンが一足跳びで間合いを詰め連続で掌打を繰り出す。


「うぐっ!」


アナスタシアはなんとか捌くが何発かは喰らってしまう。苦し紛れに剣を横一線に振りグレンとの間合いをとる。


「はぁはぁはぁ……。」


そろそろ体力が限界だ。このまま闘いを長引かせても無様に動けなくなるだけだ。


(だったら……!)


せめて一太刀浴びせたいと思うアナスタシアは思考を巡らせる。


(グレンの予想外の攻撃を……。)


「すーっ!はー!」


深呼吸をして息を整える。キッとグレンを睨む。


「はっ!」


アナスタシアが剣を横に振りかぶり突進する。まずは横凪。当然かわされる。後ろに下がったグレンを追う。即座に一歩踏み込み右手で握った剣を縦に振り下ろす。これも平然とかわされる。剣が石畳に刺さる。がら空きになったアナスタシアの上半身に向かって掌打を繰り出そうと腕を振りかぶるグレン。


(なにっ!?)


グレンはアナスタシアの左手が光っているのに気づいた。


(そうかっ!こいつっ!?)


火の矢(ファイアアロー)!」


密着した状態で燃える矢を放たれる。既に掌打を放つ体勢のグレンは初めて冷や汗をかく。


(ぐっ!)


それでも無理矢理身体を逆方向に回転させ裏拳に切り替える。胴体すれすれの位置を火の矢が通っていく。


(!?)


グレンの裏拳が空を切る。


(ここまでは予想通り、流石だグレン!)


姿勢を低くして裏拳をかわしたアナスタシアが勢い良く上体をお越し真上に剣を掲げ振り下ろす。


バキンッ!!


金属音が響く。グレンが頭上で腕を交差させ剣を受け止める。剣と籠手がぶつかる音だった。


"輪脚迅"


グレンが後方に宙返りしアナスタシアの両手を蹴り上げた。


「ぐっ!?」


アナスタシアの剣が宙を舞い地面に落ちた。


「はぁはぁ……。」

「勝負ありだな。」

「ああ。」


グレンの頬を汗が伝った。








御一読頂き誠にありがとうございました。

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