姫様、御満悦
数時間に及ぶアナスタシアの買い物が終わると、一向は宿へ戻ることにした。
「ふん♪ふ~ん♪ふふん♪~」
終始ご機嫌なアナスタシアは鼻歌混じりに往来を歩く。
「せっかくだし今日はレストランで夕食にしようよ。」
アナスタシアの提案で店探しに奔走することになる。
「ふむ。では儂はここで一休みさせてもらうとするか。店が決まったら呼びに来てくれるかの。」
ヴォルフは往来にあるベンチに腰掛け、一息ついた。
他の三人は周辺の店を覗きに人混みへと消えていく。
※※※※※
しばらくして三人が戻ってくると、ヴォルフは道の脇にある掲示板を熱心に見ていた。
「ジイ?お店決めたよ~。」
アナスタシアが声をかける。
「ん?おぉそうですか。では参りましょうかの。」
「何か面白い事でも?」
プリシアが興味を惹かれ掲示されている張り紙を読む。
「なになに……スタン共和国議会、議長選挙……?」
「ふむ。ちょうど二週間後に首都であるみたいじゃな。」
「へ~、選挙ねぇ。」
グレンも関心があるのか側に来て張り紙を読みだした。
「ねぇねぇ!早く行こうよっ!」
アナスタシアが少し離れた場所から三人を呼ぶ。
「はい、今参りますぞ。」
アナスタシアに率いられ三人は目的の店へと向かった。
※※※※※
食事を終えた四人は宿へと戻り、明日からの行き先について話し合う。
「どうぞ。」
プリシアが全員分の紅茶を部屋備え付けのテーブルに置く。
「うーん。せっかく来たんだし素通りして西に向かうのはもったいないかなー。」
「では、北にある首都に行ってみますかな?この町から馬車が出ておりますし。」
「首都のマイルには立派な議事堂があるみたいですよ。せっかくだし観てみたいです。」
プリシアが町で手にいれた観光案内を片手に言う。
「まあ、物見遊山もいいんじゃねぇか。」
グレンも賛同し、明日は朝一番の馬車に乗り首都マイルへと発つこととなった。
話が纏まるとヴォルフとグレンは自分達の部屋へと戻っていった。
アナスタシアとプリシアは風呂に入ると寝巻きに着替えベッドで横になる。
「ふふ……ふふふ……。」
「にゅふふふふ……。」
二人は嬉しそうに昼間に買った剣と杖を隣に寝かせながら眠りにつくのであった。
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