姫様の旅の仲間
一人と三人が反対側に数歩歩いた所で、
「なぁ!俺も一緒に行っていいか?」
グレンの声が聞こえた。
振り替えるアナスタシア達。
「え?」
グレンがもう一度言う。
「俺もアンタらと一緒に旅してぇと思ってさ!」
三人は顔を見合わせる。
「こう見えても俺、結構強いぜ?」
グレンがニカッと笑う。
アナスタシアが右腕をかざして親指を立てる。
※※※※※
「また宜しくお願いしますね。」
「ああ、こっちこそ宜しくな!」
「フォフォフォ。旅は道ずれじゃな。」
「そういうことだな。」
「でもなんで一緒に来る気になったんだ?」
グレンが一瞬考えた後に、
「う~ん。なんか三人といたら気持ち良かったんだよな。こんな気持ち良い奴らと旅したら面白れーだろうなって。」
「ふーん、よくわからないけど。」
「それに、アンタらといると強い奴に会えそうな気がしてな。」
四人は再び共に旅することになった。
目的地はここから西に歩いて三日程の距離にある町シルア。
そこでアナスタシアの剣をてに入れるためだ。
道中、何度か魔物に遭遇したが先日の大蛙程の手強さはなく四人は問題なく町まであと僅かの距離まで来た。
「明日の昼前には着きそうですな。」
焚き火を囲いながら食事をとる四人。
「う~。私も前に出て闘いたい……。」
「まあまあ、油断大敵です。新しい剣を手に入れるまでは儂らにお任せくだされ。それに丁度良い魔術の修行にもなりますしな。」
「たいしたもんだぜ。魔術も使えるとはね。」
干し肉を頬張りながらグレンが感心する。
「まだまだ修行中だけどね~。」
「ふふふ、一緒に頑張りましょうね。」
日々の鍛練の賜物か、アナスタシアとプリシアの魔術も板についてきた。
アナスタシアはそれなりに実戦で通用するようになり、プリシアも軽い傷程度なら治せる程になってきた。
今日も今日とて二人はヴォルフに師事を受けるのであった。
※※※※※
「お~。結構賑やかな町だね。」
「ここならきっと武器屋さんもありますね!」
「さて、まず宿を決めませんと。」
「え~!剣っ!剣っ!」
アナスタシアが頬を膨らませピョンピョン跳ねる。
「子供かお前はっ!」
グレンがアナスタシアの頭を押さえつける。
「ちぇ~。」
アナスタシアは渋々納得し宿を探す。
幸い町の入口近くに手頃な宿を見つけ二部屋をとった。
「ねぇねぇ!早くっ!」
アナスタシアはキラキラした目で三人を急かす。
三人はヤレヤレと肩を竦めながらアナスタシアの買い物に付き合うために町へと繰り出した。
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