姫様、試す
「剣がなにか知っているようだな。」
アナスタシアの問いにエドワードが返した。
「魔装具っていうんだろ?」
「ならば、使えばどうなるかも分かるはずだがな。」
「やってみなきゃわからないさ。それに……。」
アナスタシアが一呼吸おいて言った。
「先生相手には使えなかったんだろ?」
エドワードが僅かに目を見開く。
「先生…………あの修道女か。」
エドワードが静かに言う。
(挑発か……。しかし、何のために?魔装具を開放されれば無事では済まないことぐらいわかるはずだが。)
アナスタシアの行動が解せない様子のエドワード。
「その必要はない。立っているだけでもやっとの相手にはな。」
エドワードの言葉に今度はアナスタシアが眉をひそめる。
(やっぱり駄目か……仕方ない。)
「いくぞ!」
アナスタシアが仕掛ける。
キィーーン!
刃がぶつかり合う音が響く。
(よし、まだ動ける!)
先程のエドワードとの会話中に受けた傷を少しだが治癒する事ができた。
しかし、体力までは回復できない。
限界が近づく中でもアナスタシアはエドワードの隙を探る。
何度も斬り込むが剣術ではまるで歯が立たない。
悉く魘されてしまう。
「せいっ!」
エドワードが気合いとともに剣を振り下ろす。
ガキィィィン!!
一際大きな金属音が響く。
「ぐっ……うぅぅ!」
エドワードの斬撃を正面で受け止めたアナスタシアが力を振り絞って足を踏ん張る。
「はぁぁ!」
エドワードがそのまま剣を押し込む。
(な、すごい腕力だ……!)
必死に堪えるアナスタシアだが力では敵わず膝をつきそうになる。
エドワードが持つ細剣の刃が徐々に迫る。
(今だっ!)
「閃光!!」
アナスタシアが叫ぶ。
「ーーなっ!?」
エドワードが予想外の出来事に一瞬硬直する。
アナスタシアの剣から眩い光が放たれた。