姫様、圧される
「ーー!!」
間一髪、後方に跳ねて斬撃をかわすエドワード。
僅かにかすったのだろうか。
服の一部がチリチリと焼けていた。
エドワードはそれを手で払うとアナスタシアを見据えた。
アナスタシアはすかさず間合いを詰めて追撃をしかける。
(悠長に剣を交えてる時間はない!一気に畳みかけるんだ!)
アナスタシアは自身の予想よりも格段に体力の消耗が激しいことを実感していた。
「はぁぁ!!」
気合いを込めてアナスタシアが何度も斬撃を繰り出すがエドワードは冷静に細剣で捌く。
「どうした?動きが鈍ってきたぞ。」
「くっ!」
エドワードの言葉通りアナスタシアは肩で息をするくらいに疲労が蓄積していた。
剣を覆う火も消えてしまった。
「では、こちらからもいくぞ。」
そう告げるとエドワードが細剣を横に振るう。
(早いっ!)
なんとか反応できたアナスタシアが剣で受け止める。
だが、
「きゃぁ!」
足の踏ん張りが効かずに弾き飛ばされた。
(くそ、なんて腕力……。)
受け身を取りすぐに立ち上がろうとするアナスタシアに細剣の切っ先が迫る。
「ーー!?」
反射的に右へ転がるアナスタシア。
即座に立ち上がり反撃をしかける。
左肩に痛みを感じる。
かわしきれずに斬られてしまったようだ。
だがそんなことに構っている場合じゃない。
(怯えるな!攻めろ!)
エドワードの隙を探るようにアナスタシアは四方から攻める。
しかし、死角をついたつもりの攻撃も悉く防がれてしまう。
「いくぞ。」
エドワードがそう呟いくと、
"四刺衝"
今度は反応する間もなかった。
「きゃぁぁ!!」
アナスタシアの四肢から鮮血が吹き出る。
堪らずその場に倒れてしまう。
「うっ……うぅ……。」
痛みに悶えるアナスタシア。
「手足を串刺しにしたつもりだったが……思っていたより良い反応だ。」
頭上からエドワードの声がした。