姫様、使う
「ーー!?」
アナスタシアの連続斬りを細剣で捌きながらその動きに目を見張るエドワード。
「はぁぁ!」
キィィン!!
横一閃。
アナスタシアの斬撃を受け止めたエドワードが即座に突きを放つ。
「うっ!」
アナスタシアは僅かに声を漏らすと左に跳ねてかわした。
エドワードは追撃せず観察するかの如くアナスタシアを見つめている。
「ふぅ……危ない危ない。」
すぐに剣を構え攻撃の起点を探るアナスタシア。
「…………。」
エドワードも無言で構え相対する。
(動きが格段に良くなっている。反応速度も剣技のキレも。そして……。)
一週間前と最も違っていたのは……。
「ほぅ。闘気を纏っているな。」
エドワードが感心したように言う。
「まあね。」
「たいしたものだ。この一週間で。あの修道女に教わったのか?」
「さぁ……どうかなっ!!」
アナスタシアが再び間合いを詰めてエドワードと斬り結ぶ。
(くっ……早いっ!ちょっとやそっと修行したところでどうにかなる相手じゃないか。)
「確かに以前より強くなっているな。だが私と闘るにはっ!」
「うわっ!」
アナスタシアが弾き飛ばされる。
「まだまだ足りない。」
威圧するようにゆっくりとアナスタシアに向かって歩いてくるエドワード。
アナスタシアは乱れた呼吸を整える。
(やっぱり実戦だと消耗が激しい……確かにまだまだ足りないな。)
だが、そんなことは重々承知だ。
グリッドにも遭遇したら逃げろと言われたではないか。
「やって見ないとわからないさ!!」
アナスタシアはそう吠えるとエドワードに向ける。
「魔術剣……火!」
燃える剣でエドワードに斬りかかる。
「たぁぁ!!」
振り下ろされたアナスタシアの剣を受け止めるエドワード。
「ぐっ!」
細剣で受けるエドワード。
「火の玉!」
「!?」
アナスタシアの剣からファイアボールが至近距離からエドワードを襲う。
「ぬわっ!」
意表を突かれかわすことができずに被弾してしまう。
体勢を崩すエドワード。
そこに、
「てやぁぁ!!」
アナスタシアの剣が一閃された。