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姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
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Interlude

「あんた正気かい!?」


医者が目を丸くする。


「ええ。世話になりました。」

「いやいや、その傷で……。」


昨晩、医者の元に運ばれたエドワードはすぐに治療を受けた。


「いえ、もう問題ありません。」

「問題ないって……あんた。たった一晩で。」


医者がそう言うのも無理はない。

運ばれた際のエドワードはかなりの重傷だった。

今も四肢や腹部には包帯が巻かれている。


「お気遣い、感謝します。しかし、どうしても急ぎの用事がありますので。」

「し、しかしねぇ。」


医者は言葉に詰まる。

獣に襲われたと聞かされたが、エドワードの怪我はとてもそうは見えなかった。

あれは……そう、刃物での傷だ。


「では。」


エドワードはテーブルに金貨を数毎置くと出ていこうとする。

一晩の治療費にしては多すぎる額だ。

医者が慌てて引き留める。


「ま、待ちなさい!」


医者はエドワードを呼び止め、奥に引っ込むとすぐに何か入った布袋を持ってきた。


「これを持って行きなさい。中に薬草や替えの包帯がはいっとる。」

「…………。」

「ふぅ。何か訳ありなのはわかる。だから無理に引き留めんよ。だが、せめてこれを持っていきなさい。」

「……かたじけない。ありがたく頂きます。」

「ああ、気を付けてな。」


エドワードは外に出ると急いで馬を調達した。

まだ早朝であったが幸い馬を売っている店が町の外れにあった。

店を開ける準備をしている初老の店主を見るなり、エドワードは言い値で馬を買うと言い放った。

状況が分からず慌てる店主に金貨を多めに渡し馬小屋から1頭選ぶ。

すぐに店主に言って馬具を着けさせると、エドワードはさっそうと馬に跨がり走り去っていった。


「な、なんだったんだ……。」


店主は呆然とエドワードが走っていった方向を見つめていた。


「急がねば……!」


国境に向けて馬を走らせるエドワード。


(しかし、あの娘を探すにしても魔道具はもうない。アルマデルを追跡することが……。)


オッグスとの闘いでアルマデルの魔力を追うための魔道具は失ってしまった。


(聖都に戻るか?いや、そんな時間はない。奴らの手に渡る前に回収せねば。)


やがてアナスタシア達を襲撃した場所まで戻ってきたエドワードは一度馬を降りた。



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