Interlude
「おーい!飯ができたぞ!」
国境、スタン共和国側の関所。
そこに配属された兵士の一人が鍋をお玉で叩きながら中仲間を呼び寄せる。
「お~できたか。」
「腹減った~。」
「おっ!うまそうじゃないか!」
ぞろぞろと交代し休憩に入った兵士たちが集まってくる。
「おい、アイツも呼んできてやれ。」
「あー。そうっすね。行ってきます。」
「ああ、悪いな。」
年配の兵士に言われた若い兵士が詰所から外に出る。
関所から少し離れた場所にテントが張ってある。
若い兵士は歩いて近づいていくとテントの外で腕立て伏せをしている男に声をかけた。
「おーい。飯の時間だぞ。」
「ん?ああ、もうそんな時間か。」
男は立ち上がると若い兵士とともに詰所へと歩いていく。
「はぁ、今日は平和だなぁ。」
若い兵士が欠伸をしながら言う。
「そうかい。まあ、アンタらにしたら平和なのは何よりだろ?」
「うーん。そりゃそうなんだけどさ。やることないってのは、これはこれで……。」
「そんなもんかね~。」
「だいたい、君が悪いよ。やれ魔物や野盗が出たと報せが来たら先陣きって討伐に行っちゃうんだもんな~。そういうのはね、僕たちの仕事なの!」
「なんだよ、固いこと言うなよ。」
詰所に入ると食欲をそそる良い匂いがした。
既に卓についていた年配の兵士が入り口に振り返り二人に声をかけた。
「お!やっと来たか、グレン。」
※※※※※
エドワードとの闘いの後。
グレン達3人は当初の計画通りにエスナール王国へと向かった。
国境に到着し、いざ隣国へという時にグレンがヴォルフとプリシアに告げた。
「俺、やっぱここに残るわ。」
驚く二人にグレンが理由を説明する。
「一人くらいこっちにいてやらねーとナーシャの奴が迷うかもしれねーしな。」
「じゃが、残ると言ってもどうするんじゃ?」
「ん……そうだな。その辺で野宿しながら待つことにするよ。アイツがエスナール王国に向かうならここを通る可能性が高いだろ?」
確かに、反対側に渡るには国境となっている渓谷は深く、また対岸への距離が有りすぎた。
「ふむ。それはそうじゃが……。」
「なら、私も!」
「いや、プリシアと爺さんは先に行っててくれ。もしアイツが別の場所から国境を渡ってたらすれ違いになるからな。」
「そ、それはそうですが……。」
「だから、もし二人が先にアイツと合流したら……そうだな、ここの詰所にでも報せを送ってくれ。」
「わかった。もし儂らが王都で先に合流した場合は、鳥か人を送るとしよう。」
「ああ、頼んだ。」
こうして、グレンだけが国境付近に残りアナスタシアを待つことになった。