姫様、試す
(やれるか?)
アナスタシアは上空の魔物を見据えて剣を構える。
「闘気……!?」
剣を振りかぶったアナスタシア目掛けて鋭いモノが飛んできた。
「くっ!!」
間一髪右に転がり回避する。
「ナイフ……?いや、針か……?」
地面には針と呼ぶには大きすぎる錐状の物が突き刺さっていた。
「!?」
頭上を飛ぶ魔物はアナスタシアの方を向くと再び腹部から針を放つ。
「しっ!」
それを剣で払い落とすとアナスタシアは魔物の背後をとるために前方へ走った。
(立ち止まったらまたアレが来る!)
魔物の飛針を警戒しつつ、なんとか闘気斬を放つ隙を作ろうと間合いをとるアナスタシア。
しかし、魔物の6つの目はしっかりとアナスタシアを捉えたままだ。
「くっ!しつこいっ!」
アナスタシアが立ち止まり闘気斬を撃とうとすると、すかさず魔物は距離を詰め頭上から針を放ってくる。
(やるしかない。動きながら闘気斬を!)
修行でもやってこなかったがそんな事を言っている場合ではない。
アナスタシアは魔物の正面に立たないように走りながら闘気を集中する。
(いける!)
アナスタシアは魔物を睨む。
「闘気……斬!!」
剣から放たれた闘気の刃が魔物に向かって走る。
ズバンッ!
刃は魔物の腹部を斬り裂いた。
「キィィィ!!」
魔物は斬り裂かれた傷口から体液を撒き散らし地面に落下した。
「よしっ!」
ぶっつけ本番ではあったが上手くいった。
アナスタシアは地を這う魔物に向けて続けざまにもう一度放つ。
キィーン!
放たれた斬撃は魔物の外骨格に弾かれた。
(駄目か!やっぱり腹部や関節部分じゃないと斬れない……。)
魔物は両腕を振り回しながら苦しんでいる。
(とどめを刺さないと……。)
あの体勢では腹部は斬れない。
どうすれば……。
「!?」
アナスタシアは剣を地面に刺し、両手を魔物に向けて翳す。
「火の矢!」
斬れないなら燃やすしかない。
放たれた燃える矢は魔物に向かって一直線に飛んでいく。
「キィィィ!」
魔物が鎌状の腕で矢を打ち落とした。