表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
242/281

姫様、村へ

ロロイは語った。

早朝、村に悲鳴が響いた。

ロロイもその声で目が覚めたらしい。

何事かと目を擦りながら家の外に出た。

既に何人かの村人が様子を見に出てきていた。


「あんれぇ。なんか声が聞こえたんだけども。」


隣の家に住むお婆さんも窓から顔を出して辺りを見回している。


「ああ。男の叫び声が聴こえた気がしたけどなぁ。」


ロロイがお婆さんと首を傾げていると、


「ギャーー!!」


再び男の悲鳴がこだました。

今度は確かに聴こえた。

ロロイは声のした方角へ目を向けた。

と同時に、轟音と共に村の東側にある牛舎が崩れるのが見えた。


「な、なんだっ!?」


遠くから牛達のひきつった様な鳴き声が聴こえてくる。

この頃にはほとんどの家の住人が外に出てきていた。

ロロイは近所の男衆と共に村の東側へと向かった。


※※※※※


「それで、何があったんですか?」


アナスタシアが続きを促すとロロイは震え始めた。


「ば、化け物がいたんだ!」

「化け物?魔物ですか?」

「魔物……そうか、あれが魔物ってやつか。」


ロロイは頭を抱える。


「どんな奴だったんですか?」

「あ、ああ……なんていうか……黒くて脚が何本も付いてた。羽があって飛び回ってたな。」


ロロイは記憶に浮かぶ魔物の姿を何とか言葉に置き換えようとする。


「あれだ!虫!人よりも大きな虫!そいつが牛を持ち上げながらくるくる崩れた牛舎の上を飛んでたんだ。まるで餌を品定めするみたいに!」

「虫……ですか。」


(虫型の魔物か……そんなのもいるのか。)


「で、地面には何人も倒れてたんだ。中には村に滞在してる兵隊さんもいた。」


その光景を思い出したのかロロイは身震いする。


「集まってきた俺らを見ると、化け物は牛を2頭も抱えて飛んでいっちまいやがった。」


語り終えるとロロイは深い溜め息をつき立ち上がった。


「もう行かねぇと。水、ありがとよ。」

「事情はわかりました。歩けますか?」

「ああ、大丈夫だ。」


二人は急いで村へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ