表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
216/281

姫様、駄々をこねる

「断る。」

「早っ!」


アナスタシアの頼みに尼僧が即答する。


「なんで私が。命が助かっただけでも良しと思え。」

「助けて貰ったのは勿論感謝してます。」

「ならさっさと荷物を纏めて……。」

「私……強くなりたいんです!」

「知らん。勝手になれ。」

「そのために貴女に教わりたいんだ!」

「人の話を聴け!」

「少しの間だけでいいんです!貴女の剣を教えて下さい!」

「お前なぁ……。」


尼僧がこめかみを人差し指で叩きながら呆れたように言う。

アナスタシアの真っ直ぐな視線を感じてかやや居心地悪そうだ。


「だいたいお前は仲間を待たせてるんだろ?そんな事してる場合か?」

「それは……。」


アナスタシアが口ごもる。


「で、でも!私、少しは強くなって皆と会いたい。」

「会いたいって言われてもな……。」

「私、今のままだと足手まといなんです。これからも一緒に旅をするためには強くならないといけないんです!」

「だから勝手になればいいだろ。」

「ヤダ!教えてくれるまで動かない!」


アナスタシアがテーブルに突っ伏ししがみつく。


「ヤダって、お前はガキか!いや、まだガキだったな……。」


尼僧は大きく溜め息を吐く。


「くそっ……とんでもない奴を助けてしまった。」


ボソリと呟く尼僧。

アナスタシアが顔を上げ尼僧を見つめる。


「……。」

「…………。」

「………………。」

「……………………。」


暫く見つめ合う二人。

先に折れたのは尼僧だった。


「はぁ……わかったよ。」

「え?」

「わかったって言ったんだ。」

「じゃ、じゃあ!いいの?」

「ああ。」

「ホント?教えてくれるの?」

「ああ。」

「あ、ありがとうございます!」


立ち上がり礼を言うアナスタシア。


「まあ、考えてみればせっかく助けたのにアッサリあの追手に殺されたんじゃ寝覚めが悪いか。」


尼僧が無理やり自分を納得させる。


「ただし、一週間だ。それで成長できなかったらもう知らん。」

「一週間……。」

「それが嫌なら半殺しにしてでも叩き出す。」

「わかりました!一週間で強くなってみせます!」


尼僧が何度目かの溜め息をつく。


「そ、そんな嫌そうな顔しなくても……。」 

「はぁ……で?」

「で?」

「で、お前の名前は?」

「あっ……。」


そう言えばまだ名前も名乗っていなかった。


「ナ、ナー…………アナスタシア。」


アナスタシアは本当の名を名乗る。

教わる身として嘘の名を名乗るのは礼を欠くと思ったからだ。


(ジイも許してくれるよね。)


「アナスタシアか……。」

「あの、貴女は?」

「…………グリッドと名乗っている。」

「グリッド……先生。」


こうしてアナスタシアの弟子生活が始まった。







御一読頂き誠にありがとうございました。

良かったらブックマークやコメント宜しくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ