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姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
201/281

姫様、渡り合う

渇いた金属音が鳴り響く。アナスタシアの斬撃は悉くエドワードに防がれるものの、エドワードの反撃もアナスタシアに捌かれてしまう。


(さっきとは動きが全然違う。だいぶ消耗してるのか……?)


アナスタシアの予想通りエドワードはヴォルフ達との戦闘でかなりの消耗を強いいられていた。魔装具(ブルトガング)の解放と魔技の連発。その後休むことなくアナスタシア達を追って来たのだ。


(今なら、私でもなんとか対抗できる。)


アナスタシアが身体をひねり渾身の力で横に斬り払う。

細剣の腹で受け止めたエドワードが後ろに押される。


(今だっ!)


好機と見たアナスタシアが一歩踏み込み剣を振り下ろす。


「てやぁぁ!」


ブンッという音ともに剣が空を切る。エドワードが後方に転がり追撃をかわす。


「ふぅ……。」


アナスタシアと距離をとりエドワードは大きく息を吐いた。


(仕方ない……。これ以上は時間をかけれんか。)


アナスタシアが剣を構え突進してくる。それを真正面から見据えるエドワード。


「はぁぁ!」


気合い一閃、アナスタシアが剣を振るう。


「ぐぅ!!」


身体をひねり真っ二つになるのは避けたエドワードだが脇腹に傷を負う。と同時に至近距離からアナスタシアの右太股を突き刺した。


「うぁぁ!!」


アナスタシアはあまりの痛みに声をあげる。貫通した細剣を抜き、エドワードがアナスタシアを蹴り飛ばす。


「がぁ……!」


無様に倒れ付すアナスタシア。痛みにもがき立ち上がる事ができない。


「はぁはぁ……。お前はよくやった。だがもう終わりだ。」


己の消耗を自覚するエドワードは無傷での勝利を諦めた。アナスタシアの機動力を厄介と見て、敢えて傷を負う覚悟で回避困難な至近距離で仕留めにかかったのだ。


「うっ……。」


脇腹の痛みに思わず呻くエドワード。傷口からは血が滲んでいる。


(思ったよりも傷が深いな。)


驚嘆の思いで地に伏すアナスタシアを見つめるエドワード。しかしすぐに身体を翻すと、オッグスが消えた森の方へと向かう。


「ま……まて……まだ……。」


呼び止めるアナスタシアを一瞥し、エドワードは森の中へ消えていった。





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