Interlude
"吹き荒れる魔風"その名の通り凄まじい風が周囲を削り取りながらヴォルフ達を襲う。
「かぁぁ!!」
ヴォルフはグレンとプリシアを背に庇いがら半球体の魔力障壁を作り出す。
(なんという威力……!)
障壁外の地面がめくり上がり次々と吹き飛ばされていく。
「きゃぁぁ!」
ヴォルフの背後でプリシアの悲鳴があがる。
「プリシア!この中にいる限り大丈夫じゃ!治療に集中を!」
「は、はい!わかりました!」
ヴォルフは杖を握る手に力を込める。
(この男はなんとしてもここで退けねばならん!姫様の元へ向かわせるには危険すぎる!)
ヴォルフが詠唱を終えると障壁の前に魔法陣が浮かぶ。
「六撃の闇鎗!」
前方に向けて魔力の大鎗が放たれる。吹き荒れる暴風に逆行しやがで前方で大爆発を起こした。
(やったか!)
やがて襲い来る風が止んだ。
「はぁはぁはぁ……。」
ヴォルフが目を凝らし土煙を睨む。
「ヴォルフ様……。」
プリシアが心配そうにヴォルフの名を呼ぶ。
「はぁはぁ……大丈夫じゃ。グレンは?」
「気を失っていますがなんとか。」
「そうか。」
一息つきヴォルフが障壁を解いた。
「ふぅ……さて、姫様達に合流せねばな。グレンを馬車に……!?」
ヴォルフが振り返る。
「まさかあの状況で反撃してくるとはな。つくづくお前達には驚かされる。」
そう言いながらエドワードが大きく跳躍する。
(馬鹿な……!)
ヴォルフが驚愕する。エドワードは空中で細剣を構える。
「さらばだ!」
エドワードが見上げるヴォルフ達に向かって剣を突きだした。
「刺し貫く轟風!」
水平に放たれた竜巻とエドワードの闘気の合わせ技。
(さっきのが奥の手ではなかったのか!?)
間一髪、反射的にヴォルフは魔力障壁をつくる。
「きゃぁぁ!!」
「ぬわぁぁぁぁ!」
先程よりも激しい破壊の風とエドワードの妙技。二つの合わせ技に襲われプリシアたちの悲鳴が響いた。




