Interlude
(先程から感じていた不気味な魔力はアレのせいか……儂も耄碌したもんじゃ。)
ヴォルフの様子み見てプリシアが尋ねる。
「ヴォルフ様……ま、まそうぐって……?」
「魔装具とはソレ自身が魔力を持つ武具じゃ。」
「魔力を持つ?」
「そうじゃ。武具そのものが魔力を持ち、秘めたる術や技を持つ。」
「そんなのありかよ。じゃあ何か?自分が魔術が使えなくてもその魔装具ってやつがあれば魔術師になれるってのか?」
「うむ。但し、魔装具の魔力を解放するには使い手自身の魔力や闘気を切っ掛けにする必要がある。強力な魔装具の魔力解放にはそれ相応のトリガーが必要なのじゃ。」
「つまり、誰でも使える物じゃねーってことか。」
「うむ。使い手が未熟ならばただの丈夫な武具でしかない。だが……。」
「あの人は……。」
エドワードは細剣を中段に構える。
「ゆくぞ。」
エドワードの全身から闘気が溢れる。
「野郎っ!」
「す、すごい……。」
グレンとプリシアがエドワードの闘気に気圧される。
「魔力……解放!」
エドワードの声とともに、その手に持つ細剣から魔力が溢れだす。
「うわっ!」
「きゃぁ!」
「ぬぅぅ!」
三人を吹き飛ばさん程の魔力の奔流。
「たいしたものだ。私にこれを使わせたのだからな。」
ヴォルフが杖を構えエドワードに向けて火球や氷刃を放つが全て弾かれてしまう。
「おのれ……!」
「そろそろ終わりにしよう。アルマデルを追わねばならない。」
「行かせるかよっ!!」
グレンが自らも闘気を纏いエドワードへ殴りかかる。
「ぐはぁぁ!!」
エドワードが細剣を一閃するとグレンの身体が切り裂かれ後方に吹き飛ばされた。
「グレンっ!」
「グレンさんっ!」
ヴォルフとプリシアが駆け寄る。
「プリシア、グレンを任せてよいか?」
「は、はい!」
倒れているグレンとグレンを治療しているプリシアを背にかばいヴォルフが立つ。
「最後の忠告だ。退く気はないか?」
「ない。お主を行かせるわけにはいかん。」
エドワードが僅かに腰を落とし右手に持つ細剣を引き絞る。
「剣の力を解放するのは久方ぶりだ。手加減できんかもしれんぞ。」
エドワードはそう言うと細剣を突きだした。
「吹き荒れる魔風!!」
周囲の地面ごと吹き飛ばそうと凄まじい暴風がヴォルフ達を襲った。