Interlude
「やったな。」
「うむ。いかに奴とて……。」
ヴォルフが言いかけるとグレンが膝をついた。
「大丈夫か?どれ治してやろう。」
「すまん。ちょい無理しすぎたかもな。」
そこにプリシアがかけよって来る。
「ヴォルフ様っ!グレンさんっ!ご無事ですか?」
「ああ、なんとかな。」
グレンが地面に座り込みながら答える。
「お主もようやったな。」
「い、いえ……私は。」
ヴォルフに誉められ照れるプリシア。
「で、これからどうする?」
「ふむ。残りの馬車で儂らも二人の後を追おう。御者の三人はここで帰してやるかの。」
離れた場所にある馬車を見ながらヴォルフが言う。
「そうですね。危ない目に合わせてしまって申し訳なかったです。」
それはプリシア達も同じなのだが、なぜかプリシアが謝る。
「こいつぁどうするんだ?」
グレンがエドワードを閉じ込めた石壁を指差す。
「ふむ。そうじゃの……。悪いが丸一日はここにいてもらおう。明日の今頃には壁が消えるようにしといてやるかの。」
ヴォルフが石壁に手を触れると、掌くらいの大きさの紋様が壁に刻まれた。
「さて、まずはお主の怪我じゃな……。」
ヴォルフがグレンに向き合うと、
「悪いが、そんなに待てないな。」
低い声が聞こえた。
「!?」
三人が声のした方に目を向けると、瞬時に石壁に無数の筋が走る。
「なんと……!?」
ヴォルフですら目を見開き驚く。
バラバラと崩れた石壁の中からエドワードが姿を現した。
「そんなっ!」
「くそっ……マジかよ。」
プリシアとグレンは身構えながら呟いた。
「見事な連携だった。正直ヒヤッとしたよ。」
口許の血を拭いながらエドワードが言った。
「グレン、プリシア、まだやれるか?」
ヴォルフが静かに二人に聞く。
「やるしかねー状況だろ。」
グレンの言葉にプリシアが頷く。三人はエドワードから視線ー外さず次の動きに備える。しかしエドワードは後方に跳び三人と距離をとった。
(なんだ?接近戦じゃないのか?)
グレンがエドワードの行動に面食らう。
「まさか……いや、間違いない。」
「おい、爺さん!どうした?」
「ヴォルフ様?」
エドワードを凝視しているヴォルフの額に汗が流れる。
「間違いない。奴の剣、あれは魔装具じゃ!」