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姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
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Interlude

ヴォルフを中心として出現した魔方陣は範囲内にいるエドワードに膝をつかせた。


(やられたな……。)


エドワードは細剣を支えに立ち上がる。


(やるのぅ。儂の魔方陣内で動けるか……。恐らくは、抗魔力の付与してあるナニかを纏っておるのか、奴自信の魔力によるものか。)


実際はその両方であった。エドワードは抗魔力の衣を纏っており、尚且つ自分自身の持つ魔力も使いヴォルフの重加の魔方陣に対抗していた。


(たいした魔術師だ。ここまでしても影響をうけるか……。)


エドワードは内心で賛辞を送る。そんな二人から距離をおいた場所でグレンはプリシアの治療を受ける。


「はぁはぁはぁ……。」


息を荒くしながらプリシアはグレンの身体を自らの魔力で包む。傷つけられた箇所が広範囲且つ傷が深いためなかなか治療が捗らない。大量の魔力を放出し肩で息をするプリシア。


「もう十分だ。助かったぜ。」

「でもまだっ!」


立ち上がり再び闘いに挑もうとするグレンを止めようとするプリシアだが、一瞬意識が遠退いた。倒れそうになるプリシアを抱き止めるグレン。


「無理すんな。これだけ治れば十分だ。お前は休んでいてくれ。」

「はぁはぁ……す、すみません……。」


ふらつきながら謝るプリシアにグレンがコツンッと優しく拳骨を落とす。


「バカ、謝る奴があるかよ。お前のお陰でまた闘えるんだ。後は俺と爺さんにまかせとけ。」

「は、はい。」


グレンはくるりと背を向けヴォルフ達のもとへ走る。


「爺さんっ!」

「来おったか!」

「ちぃ!」


エドワードはグレンを見ると奥歯を噛む。


(厄介だな。)


エドワードが全身から魔力を放つ。


「ぬぅ!」


ヴォルフが目を見張る。エドワードは大きく後方に跳躍し魔方陣の範囲外に退いた。


「はぁぁ!!」


いつの間にかグレンがすぐそばに来ていた。


「なっ!」


間に合わない、そう思った時にはグレンの拳が腹部にめり込んでいた。


「ぐふっ!」


胃液が逆流する。衝撃に身体が硬直するエドワード。


「うらぁ!」


グレンの蹴り上げがエドワードの顎に直撃した。勢いのまま後方に飛ばされエドワードは地に倒れた。


「まだじゃ!」


ヴォルフが倒れたエドワードを囲むように"石壁(ストーンウォール)"を放つ。四方に出現した壁にエドワードは完全に封じ込められた。







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