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姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
193/281

姫様の策

エドワードが距離をおこうとしてもアナスタシアとヴォルフが喰い下がる。


「ぐっ……。」


流石のエドワードも執拗な2対1での接近戦に微かな苛立ちを覚える。


(この老人、何者だ。まさかこれ程とは……。そして……。)


「てやぁっ!」


アナスタシアが気合いと共に剣を振り下ろす。


キィーン!


硬質な音が響く。


(老人に援護されるようにして、この娘の動きも良くなってきている。)


アナスタシアは先程からエドワードに数太刀浴びせている。傷ともいえないようなかすり傷だが、それでも短時間で大きな進歩である。ヴォルフが近くで隙を埋めてくれるため、アナスタシアは攻撃に専念し多少強引に攻めることができたためである。


(早めに決着をつけた方がいいな……。)


エドワードはアナスタシアてヴォルフを引き付けた状態で身体を高速で回転させる。


"回棘(ロタシオンエピヌ)"


自転しながらの連続突き。


「きゃあぁ!」

「ぐふっ……!」


ヴォルフが間一髪、アナスタシアを魔術弾で間合いの外に弾き飛ばした。しかし代償にエドワードの技をかわしきれず全身を突き刺される。


「ジイッ!!」

「がはっ!……不覚。」


膝をつくヴォルフ。


「たいした反応速度だ。本当に老人か?」

「ふっ……まだまだ若い者に遅れはとらんよ。」


(娘を弾き飛ばすと同時に自分も後ろに弾き串刺しを避けたか。さらに即座に魔力で治癒を始めている……。)


エドワードはヴォルフの力量に感服する。


「御老人、やはり貴方を折らねば目的は脱線できないようだ。」


エドワードがヴォルフに剣を向ける。


「やめろー!!」


アナスタシアがエドワードに向かっていく。その刹那、ヴォルフの杖が輝き地面に魔方陣が出現する。


「!?」


アナスタシアは陣の中に入る直前に止まった。


「なにっ!?」


エドワードは突然出現した魔方陣に警戒する。周りを見回すと、陣の中には自分とヴォルフだけだ。


「まだまだこれからじゃっ!」


ヴォルフの声で魔方陣が一層輝く。と同時にエドワードの身体が重くなる。


「なっ!?」


思わず膝から崩れるエドワード。


「ぐぬぬっ……。」


細剣を杖代わりに身体を支える。


「今ですじゃ!」


ヴォルフが叫ぶとアナスタシアがハッとして馬車に向かって走り出した。


「な、なんだ……?」


エドワードは視線だけでアナスタシアを追う。真ん中の馬車に飛び乗ったアナスタシアはなんと自ら鞭を振るい馬車を走らせた。


「しまっ……。」


馬車はもうスピードで国境の方角へと走り去っていった。




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