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姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
173/281

姫様、奮闘す

鳴り響く金属音。


「はぁっ!」


アナスタシアの斬撃をいなし斬り返すスライ。


「うっ!」


即座に後方に跳び退いたアナスタシアはまたしてもスライの周囲を旋回し斬り込める隙を探す。


(それにしても……よく動く。)


スライはアナスタシアの敏捷性に舌を巻く。


「てあっ!」


刺突から斬撃へと繋げながらアナスタシアが攻める。


(り力もある。筋も悪くはない。それに……。)


アナスタシアが左手から炎の玉を三連続で撃つ。スライは斬撃の反動を利用し、アナスタシアから離れ回避する。


(魔術も使ってくる……。)


「ふぅ。」


スライが息をつく。間髪入れずにアナスタシアが仕掛けてくる。


(だが……もう慣れた。)


隙を探るアナスタシアを目で追うスライ。


(最初こそ動きの速さと意外性に驚かされはしたが……攻めの少なさは致命的だな。)


スライは冷静にアナスタシアを倒す道筋を考える。


(ほら、これはどうだ?)


スライが敢えて左斜め後方に隙を作ってやる。


「たぁぁ!」


アナスタシアはそこを目掛けて剣を突きだし突進する。


(ほらな。)


スライは身体を半回転させ斬り払う。


「!?」


アナスタシアは慌てて剣を横に構え、スライの剣を受け止める。


「うっ!」


体勢を崩され地面に転がるアナスタシア。


(圧倒的に経験が足りない。)


アナスタシアは立ち上がると同時に左手を前に出し、炎を噴射する。


(攻めの手段が少ない。動きを読まれ焦れば焦るほど……。)


スライはこともなく避けるとアナスタシアの右手側から斬り込む。


(ドツボに嵌まっていくそ。)


剣を片手で持っていた為、スライの斬撃を受け止めきれずに剣を落としてしまうアナスタシア。


「しまっ……!」


アナスタシアを拾うのを諦め、全力で後ろに跳んだ。回避の事しか考えていなかったので無様に地面の上を転がる。


「うぐぅ……。」


なんとか膝をつきスライを見据えるアナスタシア。右胸から左わき腹にかけて斬り傷を負ってしまった。どんどん服に血が染み込んでいく。剣を構えていたスライが追撃をやめたのか鞘に剣を納めた。


「勝負あったな。死ななかっただけでもたいしたものだ。」


アナスタシアはぼんやりと光る右手を傷口に当てながらスライを睨む。


(もう少し……もう少し足止めを。)


傷を治しながらなんとかスライをここに留めておく方法を考える。


(剣はない。体術と魔術だけでこいつを……。)


アナスタシアは立ち上がると拳を構える。


「ほぉ。その傷でまだ戦意を喪失しないのか。あの娘の為にそこまでするとは。」


スライはアナスタシアの剣を拾うと、自分の後方遠くに投げた。


「なっ!そこまでやる!?」


あわよくば回収しようとしていたアナスタシアの目論見が潰えた。


「さて、死に様をみせて貰おうか。」


スライが再び剣を抜いた。






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