Interlude
夜のスラム。無言で向かい合う二人の男。
「何者だ?」
ハンが先に尋ねた。
「あー。お前さんが追っかけてた奴らの仲間の知り合い……かな?」
グレンが答える。
「なんだそりゃ?つまりなんなんだよ。」
「そうだよな。俺もなんでここまで深入りしてんだか……。」
グレンは頭を掻きながら言う。対してハンはいきなり現れた謎の男にどうしたものか考える。
「まあそれでな……どうしたんだ?追っかけてたガキは。」
「殺した。」
いとも容易く答えるハン。二人の間の空気が冷えていく。
「はぁ……。お前さんはあのガキ達とどういう関係なんだ?」
「答える義務はない。」
「あいつらに何か盗まれた報復か?」
「答える義務はない。」
「金持ち連中に雇われた用心棒?」
「答える義務はない。」
「あいつらの黒幕だったりして?」
「答える義務はない。」
瞬時にグレンが距離をつめ、ハンの鳩尾に拳を叩き込む……刹那にハンは身体を回転させグレンの拳打を打ち払う。
「しゃっ!」
突進してきたグレンにカウンターを入れるように顔面目掛けて拳を放つハン。
「うごぉっ!」
「がっ!」
ハンのカウンターを頬に受けるグレン。しかし同時にグレンもハンの顔を拳を入れる。両者殴られた衝撃に一歩下がるが、すぐに構え直し拳打を打ち合い捌きあう。
「だぁ!」
ハンがグレンの即頭部目掛けて廻し蹴りを放つ。それを片手で受け止めるグレン。ズシンという衝撃が腕を通じて身体に走る。
(重いっ!)
グレンは両脚を踏ん張り蹴り飛ばされないように堪える。
「でやぁ!」
空いた片手に闘気を集中しハンの腹部目掛けて拳を繰り出す。
「うぐっ!」
闘気を込めた拳をくらい、後方に殴り飛ばされるハン。
しかし、地に着くと同時に転がったと思うとすぐに立ち上がり構える。
(こいつ……闘気でガードしやがった!)
グレンは自分の拳をくらいながらすぐに立ち上がったハンに少なからず驚く。ハンは殴られると同時にグレンの拳が当たる箇所に闘気を集中させ守っていた。しかも自ら後方に跳ねることで拳打の衝撃も殺していた。
「ふ~。あっぶねぇなぁ。」
グレンを見据えながらハンが呟いた。グレンも構えながら素直に称賛する。
「やるじゃねーかよ。」
唇の端を上げて言うグレンは好戦的な目付きになっていた。
「ちっ。めんどくせーのに絡まれたもんだぜ。特別手当てをもらわねーとな。」
ハンが溜め息をつきボヤいた。
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