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姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
165/281

Interlude

「あ……あ……。」


シャントはガットにしがみつきながら恐怖に震える。


「さて、次は……。」


ネーブルが残った三人を見回す。


「にげ……ろ……。」


ガットが必死に思いを口に出す。


(逃げろっ!逃げてくれっ!)


狭まり行く視界の中で、ガットとダイアンの視線が交わる。


(ダイアン!二人を連れて逃げろっ!)


ガットにはダイアンが頷いたように見えた。


「良い子だ。そうやって大人しくしてれば一発で…………うわっ!」


突然、ダイアンがネーブルの足を払った。尻餅をつくネーブル。ダイアンはシャントをガットから引き剥がし脇に抱えると階段に向かって走った。


「ヘスっ!走れっ!」

「わ、わかった!」


ダイアンとヘスは棒立ちでネーブルの後ろに控えていたハンの横を走り抜けていく。


「嫌っ!ガット!ガットも一緒にっ!」

「黙ってろ!」


泣きながらもがくシャントをダイアンが一喝する。


「ちっ!」


ネーブルが起き上がり逃げる三人に発砲する。


「うっ!」


銃弾はヘスの足に当たる。


「うぅぅっ!」


痛みで階段を踏み外しそうになるヘスを引っ張り無理やり立たせるダイアン。


「立てっ!とにかく上に!」


幸いにも地下室への階段を隠していた蓋は開いたままだった。三人はなんとか地上へと逃げた。


※※※※※


「おい、ハン。どうして奴らを逃した?」


ネーブルが尻についた汚れを払いながら言う。


「捕まえろと言われなかったので。」


どこまで本気なのか飄々と答えるハン。


「ほう。なら命令だ。逃げた奴らをスライと共に捕らえろ。殺しても構わん。」

「はっ。」

「それと、荷物を運ぶのに御者を一人こちらに来させろ。」

「わかりました。」


ハンは走って地上へと向かった。


「さて……。」


虚ろな目をしたまま仰向けに倒れているガットに歩み寄るネーブル。


「おい、望み通りお友達は逃げたぞ。」


爪先でガットの頭を小突く。


「…………。」


ガットは息絶えていた。ネーブルは膝をつきガットの目を閉じさせてやる。ポケットからハンカチを取り出し顔に被せる。


「ふんっ。忌々しい面しおって。」


ガットは微かに口の端を上げていた。仲間が逃げた事に安堵したかのように。









御一読頂き誠にありがとうございました。

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