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姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
150/281

姫様、追う

アナスタシアは民家の塀雨樋を足掛かりに身軽に跳躍し屋根の上に上がる。


(逃がすかっ!)


月明かりの中、前を走る何者かを追跡するアナスタシア。速さで勝るアナスタシアだが相手は土地勘があるのかなかなか距離が縮まらない。相手は逃げるというよりも追跡をかわそうと敢えてあちこち走り回っている気がする。


(巻く気か……。)


それにしても、とアナスタシアは思う。

 

(ずいぶん小柄で華奢だな……女か?身のこなしは素早いけど。)


そんなことを考えながら後を追うアナスタシア。すると前方を走る何者かのさらに向こうからまたしても閃光が放たれた。


「!?」


前方から現れた新たな追跡者に足が止まる何者か。その隙に距離を詰めるアナスタシア。


「よぉ。こんな時間に鬼ごっこしてるってことは、お前さんが噂の怪盗かい?」


身軽な動きでグレンが前方に立ち塞がった。挟み撃ちにされた何者かはしきりに前後に視線をやる。


「…………。」


何者かは黒い布を頭から被り首の所で結んでいるため表情まではわからない。しかしその態度からかなり焦っているのが見受けられた。


「さあ、追い込めたぞ。お前が街を騒がせてる怪盗か?」


アナスタシアが一歩前へ進む。しばしの沈黙。すると、


「くっ!?」


何者かはアナスタシア目掛けて跳び蹴りを放ってきた。身を翻しかわすアナスタシア。身体を沈めて足払いで反撃する。


「キャッ!」


何者かは悲鳴を上げ転倒する。フードが脱げ顔が晒される。女、いやまだ少女と呼べるくらいの年齢だろうか。アナスタシアは僅かに驚くがすかさず腕をとり背中で捻り上げる。


「痛っ!放せっ!」


女怪盗かはじたばたと足掻くが、アナスタシアに組伏せられ身動きがとれない。


「ふぅ……どうやら怪盗団の尻尾を掴んだみたいだな。」

「ああ、とりあえず連れて帰って仲間の居場所を聴こうか。わっ!こら!暴れるなって!」

「しゃーねーな。」


グレンが溜め息をつき、捕まえた女怪盗の首筋に手刀を素早く打ち込む。


「あっ…………。」


女怪盗は気を失いぐったりとなった。


「よいしょっと。」


グレンが女怪盗を担ぎ上げ屋根から路地へと降りていく。下にはプリシアといつの間にか来ていたヴォルフが待っていた。アナスタシアも後を追い下へと降りる。


「やりましたな。」

「ああ。連れて帰って仲間の場所や盗品のありかを聴かないと。」

「すんなり喋ればいいがな。」

「やっぱり女の子だったんですね。」


四人と荷物一人は夜が明ける前に宿へと戻った。



御一読頂き誠にありがとうございました。

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