表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
146/281

姫様、宿に戻る

「こっちですよ~!皆さん早く早く~!」


プリシアが階段を昇りきった所で手を振っている。アナスタシア達は朝からプリシアの考えた"完璧な"コースを巡っていた。


「ここはルチアーノ美術館です。フェールズ出身の画家ルチアーノの作品が数多く展示してあるらしいです。」

「ほぅ。ルチアーノとな……。確か100年程前の画家じゃったか。」

「はい、色彩豊かな独特の画風で有名な方……らしいです。」


観光冊子を読みながらプリシアが言う。


「とりあえず入ってみようか。」


と、まあこの調子で一行はフェールズ巡りをしていた。この日は5箇所の美術館、博物館を訪れ宿へと帰る事にした。考えた予定通りに観光できプリシアは終始ご機嫌である。


「ふふ~ん♪明日は~♪どこに~♪いこうかな~♪ここ!」


プリシアがベッドに寝ながら脚をバタバタする。そんなプリシアを苦笑いしながらアナスタシアが見ている。


(まあ、楽しそうだし……いいか。)


「さて、寝ようか。」

「はーい!」


アナスタシア達の灯りが消える。


※※※※※


翌朝、四人が宿からでると騒ぎが起こっていた。


「号外~!号外~!」


少年がぶら下げた鞄からチラシをばらまいて走っていった。


「なんだありゃ?」


グレンがチラシを拾う。周りでも多くの人が同じようにチラシを読んでいる。


「なになに……またしても怪盗団現る。今回の標的はアーセル博物館の金の首飾り……怪盗団?」

「なになに?」

「なんて書いてあるんですか?」


アナスタシアとプリシアが覗き込む。


「怪盗……?」

「アーセル博物館って昨日行きましたね。」


周りを見渡すとフェールズの住人達が、


「またか……。」

「これで何回めだよ?」

「やれやれ官憲もだらしねーな。」


等と話している。


「もしもし、つかぬことをお訊きしますが……。」


ヴォルフが近くにいた男に声をかけ話を訊く。


「なんだ、あんたら住民じゃないのか。なら知らないわな。この街じゃあかなり前から怪盗団が暴れてんのさ。」

「ほぅ。それは物騒ですな。」

「まあ、狙われるのは金持ちや美術館だけだし、人殺しとかはしなみたいだから暴れるってのは違うのかな……。で、盗みの跡には"黒猫怪盗団"のカードが落ちてるんだとよ。」

「それはまたシャレたことをする輩ですな。」

「だろ?まあ俺ら庶民には良い酒の肴さ。」


男は笑うとチラシを手に去っていった。


「だ、そうです。」

「怪盗ねぇ。」

「まあ、私達旅人には関係なさそうだね。」

「だろうな。そのうち官憲が捕まえるだろ。」

「怪盗と泥棒って何が違うんでしょう?」


四人は件の怪盗の話に花を咲かせながら最初のプリシアおすすめコースへと向かった。


※※※※※


「なかなか良い街だったな。飯も美味かったし。」


レストランで食事を終えた四人。


「風光明媚じゃ。」

「ふふふ、たまにはこういうのも良いですね。」

「だね。さて……そろそろ宿に帰って次の行き先決めようか。」

「だな。んじゃ戻るか。」


席を立ち宿への帰路につく四人。


「すっかり遅くなりましたねぇ。」

「ああ、でも良い息抜きになったよ。」


道すがら夜風にあたりながら宿へと到着する。


「じゃあ私達の部屋で行き先決めようか。」


アナスタシアが部屋の鍵を開ける。暗闇の中、入口付近に置いてあった燭台に火を灯す。


(あれ?)


何か違和感がする。奥のテーブルの上やベッドサイドの燭台にも火を灯し、ようやく部屋が灯りに満たされる。


「あれ~?」


プリシアが声をあげる。


「私、荷物どこにおいたかなぁ~。」




御一読頂き誠にありがとうございました。

良かったらブックマークやコメントよろしくお願いいたします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ