表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
143/281

姫様、出立

翌朝、屋敷の前では馬車がアナスタシア達の出立を待っていた。


「皆さん、本当にありがとうございました。」


ロイドが頭を下げる。


「こちらこそ、お世話になりました。」


アナスタシアが答えながら右手を差し出し握手をする。


「ほら、エマ。」


ロイドがエマの背中をそっと押すと、涙を堪えながら一歩踏み出す。


「これ……!」


エマがプリシアに包みを差し出す。


「これは……?」


プリシアが屈んで受け取る。


「良い匂い。これ、クッキーですか?」

「うん。早起きして焼いたの。みんなで食べて。」

「はっはっはっ。朝から使用人に手伝ってもらって焼いたんですよ。どうしても自分でやるってきかなくて。」


プリシアの眼に涙が浮かぶ。ガバッとエマを抱き締めるプリシア。


「わっ!な、なに!」

「エマ……ありがとうございます。」

「うん。」


エマもプリシアの背に手を回す。暫く抱き合った二人はやがと身体を離す。


「ふむ。名残惜しいが、そろそろ行こうかの。」

「だな。このままじゃ日が暮れそうだ。」


グレンがニカッと笑う。


「はい!」


プリシアは立ち上がるとペコリとお辞儀をする。


「ありがとうございました!さようなら!」

「うん。また会いに来てくれる?」

「はい!勿論!」

「また、いつでも来て下さい。歓迎しますよ。」


アナスタシアが他の三人を見る。


「よしっ!出発しようか。」

「はっ!」

「はい!」

「おうっ!」


四人は馬車に乗り込む。


「街の入口まで頼めるかの。」


御者の掛け声で馬車が出発する。プリシアが窓から身を乗り出して手を振る。


「プリシアー!またねー!」


エマが父と手を繋ぎながら大きく手を振っている。


「エマー!また会いに来ますからねー!」


プリシアもエマ達が見えなくなるまで手を振り続けた。


※※※※※※


「さて……。」


首都マイルの入口。四人はヴォルフの広げた地図を覗き込んだ。


「次は何処に行くんですか?」

「うーん。そう言えば決めてなかったなぁ……。」


皆の視線がアナスタシアぬ集まる。


「と、とりあえず……ここにしよう!」


アナスタシアが地図を指差す。


「フェールズ?」


フェールズはここマイルから西に進んだ地域に位置する都だ。


「ふむ。良いのではないですな。ここなら南北西の国境へも同じくらいの距離ですし。」

「そうそう。途中に三つくらい小さな町や村があるから経由しながら向かおう。」

「ほぅ。どうやら旅の仕方がわかってらっしゃいましたな。」

「あ、ああ!勿論!」

「へ~。ちゃんと考えてんだな。」

「凄いです~!」

「う、うん……。」


(言えない……。適当に選んだなんて……。)


「よしっ!行こうか!」


四人は街を出ると西へ向かう街道を歩き始めた。




御一読頂き誠にありがとうございます。

良かったらブックマークやコメントよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ