Interlude
ヴォルフとグレンに緊張が走る。
「お主……。」
「ちっ!今のでも駄目なのかよ。」
アミークラは壁に手をつき肩で息をしている。
「はぁはぁはぁ……どうやら油断してたのは私の方だったようね。」
流石のアミークラもかなりのダメージを負ったのか言葉に余裕がない。着ているローブも所々破れ、血が滲んでいる箇所もある。
「奴も満身創痍か。」
グレンとヴォルフが構える。
「爺さん、まだやれるか?」
「ふっ、お主こそ。」
しかしアミークラが仕掛けてくる様子はない。
「ふ……ふふふ……ふふふふふふふふふ。」
嗤うアミークラ。
「ふぅ、もうやめておくわ。どうやら私の負けみたい。」
「なんだと?」
グレンが聞き返す。
「敗因は……貴方達を甘くみていたことかしら。」
「ならば、この一件から手を退くと?」
ヴォルフがアミークラに問う。
「ええ、もう興味ないわ。新しい玩具も見つけたことだし。」
「ふざけるな。ここまでやっといて逃がすかよ。」
「そう、どうしようかしら。ふふふ……。」
アミークラが小杖を翳す。その途端アミークラを中心に強風が吹き荒れる。周囲の瓦礫を巻き上げる程の風にヴォルフとグレンは腕で顔を庇う。
「ふふふ…。今宵は遊んでくれてありがとう。またお会いしましょうね。」
アミークラの声が響く。一際強く風が吹き、そして止んだ。
カランカランッと瓦礫が落ちる音がする。もうそこにアミークラはいなかった。
「退いたか……。」
「みたいだな。」
今度こそ終わった。二人はその場に座り込んだ。
「は~疲れたぜ。」
「そうじゃな。じゃが、まだ後始末が残っとる。」
屋敷はいたる所が破壊されていた。そして未だエマ達の安否が不明なのだ。
「お嬢ちゃん達はプリシアが隠し部屋に避難させたらしい。」
グレンがそう言うとヴォルフが立ち上がる。
「儂は先にロイド氏の様子を見てくる。その間にプリシアから隠し部屋の場所を聴いといてくれるか?」
「ああ、わかった。」
ヴォルフがロイドの部屋へ向かうと、グレンは気を失っているプリシアを優しく揺する。
「ん……んん……。」
プリシアの瞼が動く。
「悪いな、少し起きてくれるか?」
「ん……グレン……さん?」
「ああ。」
「み……なさん……は?」
「もう終わった、安心しろ。」
「終わった……?」
「ああ、だからお嬢ちゃん達が隠れている部屋を教えてくれるか?」
「エマ達の……場所?」
「そうだ。もう大丈夫だって伝えてやらねーとな。」
「良かった……。」
プリシアは隠し部屋の場所を告げるとまた気を失ってしまった。
「お疲れさん。」
グレンが優しく労いの言葉をかけた。
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