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姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
127/281

姫様の寝てる間に

爆音が轟いた。頭上から。


アミークラが咄嗟に上を見る。バラバラと木片が落ちてくる。爆発が起こったと思われる場所からは白く埃が立ち上っている。


「あそこは……。」


グレンが呟く。


「…………。」


アミークラが鋭い眼で破壊された場所を睨む。 埃の中で何者かが腕を払う。さっと白く濁った空気が払われ。


「爺さんっ!」

「ん?」


ヴォルフが声の下した方向を見る。


「!?」 


ヴォルフは階下の光景を見ると、三階の廊下から一階の玄関ホールに向かって吹き抜けを飛び降りた。すたっと着地したヴォルフにアミークラが無言で魔力弾を放つ。


ズドーンッ!!


轟音と共に壁が吹き飛んだ。


「!?」


アミークラが振り返えると、いつの間にかヴォルフがアナスタシアとプリシアの傍らにいる。倒れ伏す二人の胸に手を当て鼓動を確認すると、幾分か安心した表情になる。


「…………はっ!」


ヴォルフの両手から光が溢れる。その手をアナスタシアとプリシアの身体に添える。


「ちぃっ!」


アミークラがヴォルフに向かって氷矢を複数射出する。しかし、光の壁によって全て防がれてしまう。


「ふむ……。」


数秒の間、二人に触れていたヴォルフが立ち上がる。アナスタシアとプリシアはまだ意識は戻らないが、負わされた傷はだいたいが治っていた。

 

「グレンよ、手短に説明してくれぬか?」


ヴォルフがグレンの方に向かってゆっくり歩きながら言う。


「ぐっ……爺さん、あんた今まで……。」

「すまんかったの。どうやら儂のおらん間に大変な事になっとるようじゃな。」

「ああ、まあな。簡単に言うと、あの秘書さんが俺らを皆殺しにしようとしてるって事だ。」

「ほう、なるほどのぅ。」


ヴォルフが静かに言う。しかしその眼はアミークラを見据えている。


「あの者は?」


ヴォルフがガトーの事を尋ねる。


「秘書さんを狙ってやって来た刺客だよ。今は共闘中だがな。」

「そうか……。だいたい事情はわかった。」


ヴォルフがグレンの肩に手を置く。


「おっ!」


アナスタシア達と同じ様にグレンの傷も癒すヴォルフ。


「応急処置ですまぬな。」

「いや、助かったぜ。」


立ち上がりながら礼を言うグレン。手を握ったり開いたりを繰り返す。


「ふむ、では二人を守っていてくれぬか。」


アナスタシア達を見ながらヴォルフが言う。グレンが微かに目を見開くとヴォルフの方を見る。


「ちっ……。足手纏いかよ。」


グレンが苦笑しながら言う。


「フォフォフォ。いやいや、遅れてしまった罪滅ぼしじゃよ。皆は少し休んでいてくれぬか。」

「はいはい、そういう事にしておくぜ。」


グレンがヒラヒラと手を振りアナスタシア達の所に歩いていく。


「お主も……敵の敵は見方と言うことでよいのかのぅ?」


今度はガトーの方に歩いていくヴォルフ。


「この期に及んでお前達と闘う必要はない。敵は奴のみだ。」

「ふむ。それは良かった。」


ガトーの肩に手を置くヴォルフ。


「これは……!?」


自らの傷が凄まじい速度で癒える事に驚くガトー。この老人が並みの魔術師ではないことを悟る。


「すまんが、お主もグレンと共に二人を守ってやってくれぬか。」

「……………承知した。」


ガトーもアナスタシア達の元に向かう。


「さて……。」


ヴォルフがアミークラを見る。そしてアミークラはずっとヴォルフを睨んでいた。



 



御一読頂きありがとうございました。

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