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姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
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Interlude

ランプを調理台に置き周囲の気配を探る。


(いる……確かに。)


構えをとりつつジリジリと厨房内を移動する。


カランッ……!


調理台を挟んだ右側で何かが落ちる音がした。


(……!!)


グレンが右に視線を向けた瞬間、左側から何者かが迫る。


「ちっ!」

 

上体を反らして頭部への攻撃を避けるグレン。その勢いのまま後方に転がり距離をとり襲撃者と対峙する。


「ふぅ……。」


敵を正面から見据える。全身黒装束に口元を黒い布で覆っている。ランプの光だけしかない厨房で鋭い眼光が目立つ。


「一応聴くが……ただの物取りって訳じゃねーよな?」

「…………。」


無言。敵も無手で構えたままグレンを見据えている。


「しっ!」


グレンが大きく踏み込み腕をしならせながら拳を放つ。それを片手で捌き即座に反撃の拳打を繰り出してくる襲撃者。


(こいつぁ……!)


お互いに打ち上合い捌き合う。


"流連脚"


グレンが蹴り上げから蹴り込み、廻し蹴りへと繋げる連続蹴りを放つ。


「ぐっ!」


襲撃者が声を漏らす。蹴り上げを後方に下がり避けた襲撃者は二撃目を避けきれず両腕を正面で交差させ防ぐ。間髪入れずに左から廻し蹴りが浴びせられ、左腕で受け止めながら調理台の上を転がり間合いをとった。


(やっぱりな。こいつ、かなり強い。)


襲撃者は身を屈め闇に紛れ姿を消す。グレンは集中して空気の流れを捉えようとする。しかし割れた窓から流れ込む強風に邪魔され襲撃者の位置が捉えられない。


(ちっ……厄介だな。)


そう心の中で毒づいた瞬間、


「つっ!?」


身体を回転させるグレン。目の前を紙一重で包丁が通り過ぎた。


「はぁはぁ……。」


包丁が飛んできた方向に顔を向けるが、すでに襲撃者の姿はない。


(気配を消すのが上手い奴だぜ。闇の中で闘るのは不利か。)


そう思った瞬間、また別方向から包丁が飛んできた。またしても身体を捻り避けるグレンだが今度は肩をかすった。服が裂け血が滲む。


(そこかっ!)


漸く目が慣れてきたグレンが襲撃者を捉えた。調理台の上を疾走し距離を詰める。


「しゃあっ!」


グレンが襲撃者の頭部を蹴り払う。


今度は襲撃者が上体を反らして紙一重で蹴りをかわす。ヒラヒラと口元を覆っていた布が宙を舞う。グレンの蹴りが僅かにかすったのか頬から血が垂れていた。再び距離をとりお互いに向かい合う二人。


「…………ん?お前……。」


グレンは構えを崩さないまま驚く。襲撃者はいつぞや街で女の子の風船をとってあげていた男だった。








御一読頂きありがとうございました。

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